銘肌鏤骨~SKIN TO BONE~
儚之シーシャ
プロローグ 甲縛されし報復者
黒塗りの一台の高級車が激しい業炎に巻かれている…。車種は不明。
車内には叉焼のように縄できつく縛られ、燃え盛る炎による高熱で蒸し焼きにされる肥え太った男が二人。
肌が焼け爛れる極限の痛みと避けられない絶対死への恐怖で、醜い豚のような甲高い絶叫を上げている。
「誰かあぁ゛っぁあ゛ぁ~~!!!助げてぐれぇーー!!!」
俺はそれをただ真近で見つめている。
…いや、見届けていると言った方がいいか。
目の前のこの豚共が、自らの残虐な行いを悔いながら地獄に落ちるその様を…。
この『
もはや法では裁けぬこういった無法の輩を『
声帯が灼け潰れたか、痛みにより意識を失ったのか、或いはもう既に絶命したのか…。車内からはもう耳障りな絶叫は聞こえない。
「痛みからすら逃げるか、腐れ外道共が…」
公には『市民の怒りの代弁者』となど呼ばれていたこいつらは、陰で多くの罪無き貧しい少女達を自らの浅ましい欲望を満たす為に犯し、そしてその事実を隠蔽する為に戸籍情報ごと彼女らの命を焼き棄てていた。
…これは当然の報いだ。いや、まだ生温いとも言える。彼女達が受けた痛みと絶望はこんなモノでは決してないであろう。
秋も終わり差し掛かるの寒空の夕暮れ、この神から賜った『特別な外骨格』を纏っていたとしても、『骨身』に染みるこの寒さで思わず身震いした俺は、燃え盛る高級車を焚火代わりに暖を取り、物思いに耽けていた。
「フッこの火では芋は焼けんな…」
そうやって欠片も笑えやしない下らない冗談を一人呟いていると、次第にこちらに近づく警察や消防のけたたましいサイレンの音が聞こえてきた。…そろそろ潮時か。
後手にしか回れない愚鈍な正義と遊ぶつもりは無い。
俺はその場から身を翻し、大きく跳躍して廃墟の屋上伝いに跳び去っていった。
遥か昔。この星に『異形』が飛来する前…。人類は今より遥かに多くの土地を持ち、それは豊かに暮らしていたという。
…しかし現在、ここ『
…地獄のようなこの世界で、唯一の『神』から賜った特別な『
これまでも…そしてこれからも…。
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