屋台のラーメン店のお話です。
今時はキッチンカーでマルシェが流行っております。それはそれで楽しい催しですが、僕はこちらの物語を拝読させて頂き、切なくも温かい気持ちを頂きました。
僕の住む街にも深夜遅くまで営んでいるラーメン店がありました。屋台ではないですが、繁華街で遊んだ後にしめに訪れる、そんな店でした。もう帰らなければいけない時間なのに、つい寄りたくなる。もう少しだけ、この時間を楽しみたい。まぁ、お腹もすいたしなぁ、そんな気分で気軽に仲間と立ち寄るのです。
コンクリートの打ちっぱなしの床、油が染み付いた少し狭苦しいテーブル、お冷は持って来てくれるけどみんなセルフで運ぶ、背もたれのない丸椅子に座って、煙草に火を着けて、メニューを軽く眺めて「大盛ラーメン」と注文。
冬場は店の窓ガラスが結露ですっかり曇り、夏は暑いなぁといいながら熱いラーメンを待つ。同じく繁華街で遊んだ様々な人達が入って来て、馬鹿話をしたり、店主さんを労ったり、愚痴を言ったり、まぁ、そんな中でズルズルとラーメンを食べるんです。
もう無くなってしまった僕の思い出の店を思い出しました。
お勧め致します。
市井の人々の当たり前で何気なくて、そしてかけがえのない大事なものが書かれた物語です。大切に心に留めたい物語です。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
読んでいて幸せな気分になる、あたたかい作品です。
とあるラーメン屋台。そこにやってくるお客たち。
このラーメン屋台には、いくつもの笑顔がある。気のいい店主はチャーシューを一枚おまけしてくれたり、この時間を志向の贅沢だという客がいたり。
濃厚な味噌ラーメンの美味しそうなイメージと共に、それを食べる彼らの心があたたまる様子や、提供する店主たちも満たされて行く感じがしみじみと伝わってきます。
それこそ、ラーメンスープを口に含むかのように、本作を読み進めていくごとにじんわりとあたたかいものが胸に広がるのです。
五百円払うことで「その日一日」を幸せなものにできる。屋台で食べるラーメンって、なんでこんなに美味しそうなんだろう。
こういう時間の過ごし方っていいなあ、と感じさせられ、とても満足させられる作品でした。