勇者と魔王が終末世界に転生したようです

梅で鯛を釣る

プロローグ 最終決戦、そして…

この世界は3つの領域に分けられる。

何百年もお互いの生存圏拡大のため戦争を続ける人間連合国と魔王国。

そして埒外の怪物である幻獣種が巣喰う絶対的な不可侵領域である"災禍の楽園"。


人間連合国に勇者が誕生したことで長きに渡る戦いが転機を迎える。



魔王国 玉座の間


遂に何百年にも渡る戦いに終止符が打たれようとしていた。

満身創痍。

勇者と魔王は次の一撃が最後の一撃になるだろうと感じていた。

放たれた刺突がお互いの心臓を穿つ。


薄れゆく意識の中勇者は祈る。

「(どうか人類の未来が幸多からんことを)」











「.....どこだよここ」


いやほんとにどこやねん。

えっ俺さっき魔王との最終決戦で相打ちしたよね?

ここ天国はなのか?

にしてはなんか地味だな。あたりはボロボロの石?の塔ばかりだし。

なんだか視点が低いような??

体を触ってみる。

ぷにぷにのほっぺ。さらさらの髪の毛。鍛えあげた筋肉は見る影もない。

間違いない。俺は子供になっているようだ。


「...ハァ?」

待ってくれ。マジで意味がわからない。

一旦落ち着こう。孤児院のシスターも言っていた。

焦っているときは深呼吸がいいらしい。

「ヒッヒッフー...ヒッヒッフー...」

なんか違う気がするが落ち着いたのでよしとしよう。


とりあえず状況を整理しよう。

まず俺は死んだ。これは確定でいいだろう。

そして気付いたら子供になっていた。

体の感覚が微妙に違うからもしかしたら神話にあった転生というやつかもしれない。

周りにあるのは石?の塔と粉々の水晶が散乱している。

運動神経は前世と特に変わらないから子供の体でも最低限戦えるだろう。

とりあえず腹も減ったし食えそうな魔物か動物でも探そう。

魔法はもともと無属性の強化魔法しか使えないが問題なく使えそうだ。


『ブォォォォォ!』


オークの鳴き声だ!

急いで鳴き声のもとに走っていくと赤ん坊を襲おうとしているようだ。


「待てっ!」『ブモ?』

なんとかこちらに注意を向けることができたようだ。

武器も何もないがまあ殴り倒せばなんとかなるだろう。

ドカッ バキッ ベキッ ドゴン  

なんとか倒せたが強化魔法の適性が下がっているようだ。

前世だったらこの体でも一撃で倒せただろう。

そんなことより赤ん坊だ。


「怖かったでちゅね~痛いところはないでちゅか~」

黒髪に深紅の瞳、プニッとしたほっぺがとても可愛らしい。

なんだか守ってあげたくなる。


「もう大丈夫でちゅからね~」

「ふむ、人族風情が我を庇護しようとするか。面白い」

........ゑ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る