とりちゃん絵解き録【最可愛女子感想企画】
鳥尾巻
感想①
ごきげんよう。
犀川よう様主催「最可愛女子💗たちが感想書いちゃうぞ⭐️」企画で感想を述べさせていただきます、とりちゃんです。
絵描き&ものづくり系のとりちゃんは、皆様の作品を読み感想を述べるにあたり、物語から感じ取れる色やビジュアルを重点的に語ろうと思います。とりちゃんのファンサはイラストですので、推してくださった方へのイラスト付きの近況ノートのURLを載せておきます。
「あの煙突と富士山をもう一度」大田康湖様
https://kakuyomu.jp/works/16818093089203882867
まず浮かんだのは星が煌めく藍色の夜空です。俯瞰の視点が富士山と坂道と煙たなびく煙突からゆっくりと降りてきて、もうすぐ店じまいする「坂上湯」の内部に移ります。簡潔な描写で混乱なくスッと頭に入ってきます。
幼馴染みである女将とあや子のセピア色にも似た思い出と、柚子湯の日に使う柚子の鮮やかな色が対照的で美しいと思いました。二人の会話も昔馴染みの気安さが自然に現れていて良いですね。
昔あや子が撮ってポスターにした富士山と坂上湯の煙突の写真を、同じ位置で見えるようにドローンで撮り直すところがノスタルジーと現代の対比を感じさせて素晴らしかったです。淡々とした語り口でしっかりと物語を展開させていく大田様の手腕に脱帽です。
「深海と深森の愛」紙の妖精さん様
https://kakuyomu.jp/works/16818093082717322851
タイトルからも感じられる深い碧。ここであえて「碧」という文字を使ったのは、これが青と緑の両方の意味を持つからです。特殊な能力を持つがゆえに孤独な二人の少女。彼女たちの出会いの瞬間に、似ているようで微妙に違う色が豊かに混ざり合う感覚を覚えました。
主に地の文で構成された物語は、繊細で詩的な言葉選びが美しく、私の頭の中にはガラスドームに入った一対のビスクドールのイメージが浮かびました。閉じた空間でありながら、どこまでも透明な意識の具現とでも言いましょうか。繊細で美しい星の瞬きのようで、静かな語り口ながら終わりに向けて高まっていく情熱が感じられます。丁寧に積み重ねられる少女たちの愛の軌跡が魅力的な美しい作品だと思います。
「NO MUSIC NO LIFE」@zawa-ryu様
https://kakuyomu.jp/works/16818093089308071651
爽やかなビタミンカラーを彷彿とさせる元気いっぱいな青春物語ですね。文字から音楽が聞こえてくるような臨場感! 90年代といえばバンドブームで、今でも活躍するバンドがたくさん排出された年代でもあります。ライブ好きのとりちゃんは楽しく共感しながら読ませていただきました。あの音が五臓六腑に響き渡るような心地がなんとも言えません。zawa-ryu様の作品はそれを見事に表現していると思います。
過去のトラウマから歌うのが怖くなってしまった主人公・佳音を取り巻く周りの人たちも温かくて、特にママと芽理との会話がお気に入りです。ちょっと気障な耶麻人少年が頑なな佳音の心を溶かしていく場面も素敵でした。スポットライトに照らされる二人の未来が見えるような終わり方も良かったです。
「千の詫び」福山典雅様
https://kakuyomu.jp/works/16818093089338615148
大正と言えばハイカラな色合いが浮かぶ印象ですが、この作品からは楚々とした風情の花の色や落ち着いたアースカラーを感じました。しかしそれは前半の田所さんとのやり取りから感じたことで、後半の良助さんとの会話からはもっと色鮮やかな恋の色を感じます。前半が淡く色づいた花の蕾ならば、後半は匂いたち咲き誇る大輪の芙蓉のようです。どちらも彼女の中にあるもので、それでも表面的には蕾のような顔を保っているところが、やけに女心を理解しているようで作者様がちょっと憎らしいです。(褒めています)なんでも筋肉で解決してしまおうとする脳筋のとりちゃんには逆立ちしても書けない話だからです笑。もしこのお話にイラストをつけるとしたら、花の絵をたくさん添えたいなと思うのでした。
「歩きスマホに注意を促した話(ショートショート)」島本 葉様
https://kakuyomu.jp/works/16818093089368565650
冬というのは空気が澄んで、物の見え方がくっきりするように思います。島本様の作品はそんなキンと冷えた冬の青空の下で、歩きスマホを見かけて注意するお話です。文体も話の運びもかなりくっきりしているのに、途中で「あれ? これは?」と混乱させてくる手法が面白くて、また最初から読み直しました。そしてオチにニヤリとさせられる! 500文字程度のショートショートでここまで綺麗にオチをつけることが出来るのはすごいと思います。「なるほど」と納得するとともに、歩きスマホは危ないので本当に注意しなくてはいけないなと、改めて戒めをくださるお話でした。
皆様、楽しい作品をありがとうございました。
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