第4話 2人の誕生日会1
「そうだ、ナイトレイ。私にいい考えが思いついたぞ?」
「なんでしょうか」
「オリビアはそちらのハリーと婚約しただろう?」
「その通りです」
父親の顔が真っ青になる。嫌な予感でもしたのだろう。
「だから王都で住むのはどうだ?」
「え?誠でございますか?」
パッと父親の顔が明るくなった。
待って。え?ん?紗奈と住むってこと?
「それなら、オリビアも喜ぶと思うのだが」
「ぜひ!よろしくお願いいたします」
「よし決まったことだし、早速、城内を案内しよう。クララ!」
「お呼びでしょうか?」
「うむ。この方たちを城内案内してやってくれ」
「わかりました。では、こちらへどうぞ」
どんくらい広いんだろ。
俺はワクワクしながら母親に抱っこされながらあたりを見回した。
***side サーナ
一緒に住むとは?流石に部屋とかは別れてくれないとあの子供を面倒見るのはどうせボクなんだからさ!とりま、2歳ぐらいまで、自由気ままに人生送るか。転生して、一番くらいの高い王女にもなれて、優雅な蔵ができるし……。楽しまないと損だよね!
「あーあー!」
「どうしたんだすかー?サーナさん♡」
この召使。絶対に気が合う。
❀❀❀❀
〜2年後〜
「マ、ママ!」
「っ!あなたー!サーナが喋ったわよー!」
もとから喋れまーす。
「本当か?さすが私たちの娘だ!」
そういえば、最近…というか、2年間、ソルに会っていない。公爵とお父さんの話し合いで、僕たちが5歳になるまで、会わせないようにしたらしい。理由はようわからん。
「パ、パパ。ママ!」
こうやって感動させておけば……。
「よしよし、いい子だ!そろそろ姉妹にも会わせてやろう」
「そうね!みんな喜ぶと思うわ!」
お姉ちゃんたちはどんな感じなんだ?
「みんなー!おいで!」
「お母様ぁー」
「こら!アメリア!はしたないよ!」
「うるさい!妹に早く会いたいの!」
おおー。優しいお姉様と、厳しいお姉様がいる!
「ミア、アメリアを止めて……」
「ふふふ。良いじゃないの?久しぶりに妹を見るんだし?」
「そうね。」
「あれ、オリビア。ソフィアはどこにいるんだ?」
「自室にいると思います」
「あの子はどうしたものか……」
ソフィア?ここ何人姉妹なんだ?
「ねえ、ミア」
「はい、お母様!」
「この、サーナを可愛がってあげて頂戴ね!」
「絶対、笑顔が絶えない子にする!」
笑顔が絶えない子かぁ。現世では偽りスマイルだったしな。
「ありがとうね。みんなで、元気で笑顔が可愛い子に育てていこうね」
****sideソル
2歳か。もう話せるようにしてもいいかな。
「お、お父さん。お母さん?」
「「!?」」
「息子が…ソルが…最初に発したのがお父さんお母さんだと……!?」
「なんて、頭のいい子なんでしょう!」
ヤバ。ハードル上げすぎた。
「これは、サーナ様ともっと仲良くなれるきっかけになりそうだ……」
へへーん。産まれたときから喋れまーす!
「おい。みんな集まるんだ!」
『はい!お父様』
「よし。ソル。覚えるんだぞ?今から君の兄弟を紹介する!」
いきなり!?
「僕の名前はハリー。僕より頭がいいんじゃないか?」
一番上がハリーっと。
「オレの名前は、マイケル。オレに似てないな……」
「こら!あんたと同じにしない!」
「ごめんごめん」
なんだコイツ?
「私の名前は、ウィリアム。これから一緒に勉強をしていこうね!」
あー!こういう兄貴好き!
「僕の名前はリチャード……」
この人だけはまっすぐ、鋭い眼光で睨んできた。怖っ。
「ソル覚えたか?これが君の兄弟だ!」
5人兄弟っと。覚えましたー。
「ねえ…僕帰っていい?」
「あ、いいぞ。」
お父さんも、リチャードのこと怖がってるの?なんかあったんかな。
「ねね、お父さん。早速ソルと、一緒に遊んできてもいい?」
「ああ、でも、王女様のところには行ってはいけないよ?」
「わかってます!」
ヒョイッっと抱っこされてお城の庭園にやってきた。
「きれいだろ?これが、バラ。そしてこれはバラのアーチだよ!」
きれい。現世よりも。
「きれぇー」
「喋った!?」
「お兄ちゃん!」
「よしよーし。僕の名前はウィリアム。ウィリアム兄ちゃんって呼びな!」
「う、ウィリアム兄ちゃん!」
こんな感じでいいよね?
「可愛いぃ」
ありがとうございます。
「じゃあ、ブランコでも乗る?」
「乗る!」
この世界にブランコがあるのは神!
ブランコは小さい頃から好きだった。
「じゃあ押すよー」
ーキィィ。キィィ。
この音。メチャクチャ懐かしい。
「楽しんでるー?」
「楽しぃぃぃ」
「ソルは、大きくなったら誰と結婚するんだろうね」
「わかんなーい」
え?あ、もう結婚の話しになるのね?
そろそろ紗奈に会いたいなぁ。
❀❀❀❀
****side サーナ
あー。暇。あれから1年経ってなれたと思ったけど…王女ってこんなに暇なん?
「サーナ様!お誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう!」
もう僕は、5歳になった。
「これで、サーナ様も公爵様たちに会えますね!」
「公爵……?」
結局あの時、ほぼ寝てたから覚えてねぇ。
「あ、サーナ様と同じ年のがいます」
「誰?」
「えっと、ソル・ナイトレイ様だった気がしますね。」
「会ってみたい!」
「一回会ったことありますよ。とても幼いときに」
「覚えてないよそんなの!」
微かに覚えてはいる。
「ふふふ。元気なお嬢様になって良かったです」
「え?」
「いえいえ、なんでもありませんよ」
元気ですか……?あ。それ目指してるんだったよね。すっかり忘れてた。
「ソニアは、もう外で遊んでいいと思う?」
「はい!もう5歳になったので、誕生日会が終われば…ナイトレイ家とも会って良いことになるので良いと思います!」
誕生日会?
「やった。やっと外で遊べる」
「そうですね!では、誕生日会のためにおめかしをしましょう。」
おめかし……。
僕は、嫌そうな顔をして黙る。
「大丈夫です!ほぼ、そのまんまです!」
「良かったぁ」
「やっぱり、サーナさんは、そのままのほうがお好きですね!」
「うん。だって、遊んだらせっかくやってもらえたものがとれちゃうじゃん!」
「なんとお優しい理由……」
「大丈夫ですよ!なるべく、そのままでいきましょう!」
ま、ホントはそんな事やりたくないだけなんだよねぇ☆
「はい!完成です!」
「わぁ」
上手い。ほとんどしていないけど、やっているように見える。
「それじゃあ、会場に向かいましょう!」
「うん!」
ソニアは、僕の手をとって会場までついてきてくれた。
「では、私はここまでなので、楽しんでくださいね!」
「え、やだよ!中まで来てよ!」
「すみません!ここまでが私達が行けるところなんです!」
あー。一人で入るの?
「大丈夫ですか。姫」
「わわっ。誰?」
「あ、失礼しました。俺…あ、私の名前は、ソル・ナイトレイです」
「あ」
ソル…っか。懐かしい。久しぶり。
「ねえ、これってどうやって入ればいいの?」
「あ、えっと俺もただ連れてこられただけなんです……」
「あ、そうなんですね。ど、どうすればいいのこれ?」
何?なんか試されてるの?
2人で困惑しているときに僕のお母さんが来た。
「あらあら、何も言われていないの?」
「うん。どうすればよかったの?」
「とりあえず、2人で一緒に式場の中に入るのよ。ソルは、サーナの手を取って、一緒に歩くの」
「「え!?」」
なんで?まだ、僕たち5歳。
「大丈夫よ。失敗しても、まだ可愛いんだから!」
「はい」
いよいよ、入る。
ーガチャッ。
ソルがエスコートしてくれている。
「大丈夫?」
「大丈夫」
めっちゃ小声で話す。
ーパンパパパーン。
ラッパの音が式場を包む。
「これから、リーウェンス・サーナとソル・ナイトレイの誕生日会を始める。では、国王様、公爵様。挨拶をお願いします」
「では、先に失礼します」
「うむ」
「この度は、愚息ソルに、サーナ様とのご一緒に誕生日をお祝い頂けることとなり、誠に光栄に存じます。陛下のご厚情に心から感謝申し上げます。今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
ソルの父親は礼儀正しい感謝の言葉を述べて席に戻った。
「皆様、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。さて、この度、我が愛娘サーナと、ナイトレイ公爵のご子息ソル殿の誕生日を祝うべく、こうして皆様と時を共にすることができ、心から嬉しく思います。二人がこれほどまでに健やかに成長した姿を見る度、感慨深いものがあります。本日は、皆様とともに、二人の未来が明るく輝かしいものであるよう、心より願いを込めて、この宴を催す次第でございます。どうぞ、ごゆっくりとお楽しみください。」
さすが父上!!誠に感動する言葉でありますぅー!
「では、乾杯の挨拶といこう!乾杯!!」
乾杯!
楽しい。転生してきて初めてのパーティー!!
「サーナ!誕生日おめでとう!」
「わぁ!ありがとうアメリアお姉ちゃん!」
「ふふっ。喜んでくれると良いな!」
プレゼントの中に入っていたのは、マフラー。多分手作りだろう。
「マフラー?」
「そう!サーナの誕生日は12月でしょ?寒いから手作りしたの!」
「すごーい!ありがとう。大事に使うね!」
なんか、このマフラー持ってるだけで安心する。
もう夜か。寒いけど、ベランダに行こ。
ーガチャッ。
「うっ。意外と寒かった。防寒対策してくればよかった!」
今日は、満月の夜。空気が済んでいて星空も規定に見えた。でも、寒い。
「大丈夫?」
「あ……」
「これ、俺ので良かったら着なよ」
「ありがとう」
誰かと思ったらソルか。なんか爽介とにてるんだよなぁ……?
「うーむ」
「どうした?」
「あ、いやなんでもない」
「サーナ様は俺と一緒に産まれてよかったんですか?」
「え?どうした急に?あと様つけなくていいよ」
「あ、はい。いや、国王の娘がこんな、元気ありすぎるやつと……」
「あ、そこは大丈夫。私…僕もそうだから☆」
「なーんだ。良かった」
爽介?
「あ、ソル」
「何?」
「転生って知ってる?」
「なんですかそれは」
「あ、やっぱり知らないか」
あーあ。一緒に転生してくるなら爽介の可能性もあったのに。
「でも、そういう感じの本を読んだことはあります」
「え?本当?」
「はい」
「詳しく聞かせて!」
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