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@ten_P0412
1話 秘密結社 iPhone
ここは仮想世界、通称『net.』ーー…
その中でもひっそりと立つビルの中。
ここは秘密結社『iPhone』という会社のビル。
外からだと4階ぐらいの小さなビルに見えるが、
中は40階程もある不思議なビルである。
ここでは日夜熾烈な戦いが繰り広げられていた。
このビル自体が言わば皆さんの持っているスマホである。
所属社員はアプリと呼ばれ、戦い、勝者のみがこの世界に残れる。
負けた者や戦いを避け続けたものは価値のないアプリとしてアンインストール、つまりは消滅してしまう。
生き残る術はただ一つ、
個々に情報を集め、戦略を立て勝利し続けることだ。
ーピンポーンー
エレベーターが開き、一人の少年が降りてくる。
少年は黒い髪に白いパーカー、長ズボンと極一般的な服装をしている。
特徴を挙げるなら長ズボンが赤、黄、緑、青の薄いグラデーションになっているズボンということだ。
彼がグーグル、この物語の主人公だ。
突き当りの部屋を開け、入る。
そこは音楽室だった。
グーグルはまだ学生の為、授業もあるのだ。
「おはよう!」
グーグルは声をかけられ振り向くと、
そこには一人の少女がいた。
彼女はライン、グーグルの幼なじみでお互いに情報を共有し合う数少ない同盟相手だ。
こちらも極普通の服装で、エメラルドグリーンの髪を下ろしている。
グーグル、ライン、そしてもう1人の同盟相手の
カメラ。
3人とも同学年、15歳。
3人で行動することが多く、部屋も隣だ。
グーグルが情報収集し、ラインが共有、カメラが詮索し会話の録音などを担当。
これで今まで乗り切ってきたのだ。
「おはよう、何も変わったことはないか?」
「うん、大丈夫!」
軽い会話をしていると、
「よ、2人揃ってたのか」
同盟相手、カメラも来て合流する。
こちらは潜入などしやすくするため、
全身黒っぽく動きやすい服装で統一している。
「なあ、これ見てくれよ、俺の部屋の扉に挟んであったんだがよ」
そういいカメラが差し出した物は宣戦布告の手紙。
ー貴様を明日朝7時、14階休憩フロアにて待つ。
不要なアプリは消去され当然な為、
貴様をその場で打ち破り消去致す。ー
「この書き方…最近話題のアイツかな」
「でしょうね…私も噂程度しか聞いてないけど」
「「「アップルストア」」」
3人同時に発言するーー…アップルストア、
この暗殺が一般化されるような世界で
宣戦布告をし、勝負が終われば風のように立ち去る男と言われている。
「…行く、しかないよね」
グーグルはカメラを見る。
「ああ、俺は行く。だが情報収集と一応の為、
お前らも隠れて見ていて欲しい。」
「そのぐらいはいいけど…大丈夫なの?」
ラインも心配そうにカメラを見る。
「恐らくは大丈夫だと思う。相手は俺らの情報収集能力を知らない可能性が高いからな、、」
大丈夫だと言いつつカメラも不安そうだ。
ーピーンポーンパーンポーン…ー
授業が始まる。
「とりあえず、授業終わったら作戦立てよう」
グーグルが言う。
「おう!」「うん!」
カメラとラインの2人もそれに賛成する。
ーープツッ。
その会話を近くで聞いていた者がいた。
ニヤリと少し笑った後、準備室から出る。
そして教卓に立ち、こう続ける。
「さぁ、音楽の授業を初めましょう!」
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