「人生ってのは『無双』できなきゃ意味がないんだ」
ファンタジー小説ではよくある定番フレーズですね。
この物語では『無双』という絶対的なイメージが主人公の俺のメンタルを加速的に削り取り、次第に追い詰められていきます。
異世界に転生しても悲しいくらい無双できないという世知辛さが如実に描かれた本作。
この世界で何か無双できる余地はないか。本当に何も残されていないのか……その隙間を埋めるがこどく可能な限り探し求めるのです。
果てはニッチの分野まで……
ちょっぴり厭世的で感傷に浸るシーンには当事者意識で共感してしまいますね。
そんな時は空を見上げてみよう。
雲の流れる様子は、とても綺麗だから……と、自然の風景を眺めていれば、自ずと答えは見えてくるでしょう。
そして気づくのです。
俺は、何をこんなにこだわっているのだろうと。
思い込みという人物風刺を彷彿とさせる無意識の手枷足枷が、その人から心の自由とゆとりを奪っているのではないでしょうか。
現代社会でも通用する心の障壁を風刺的に描いた異世界転生ファンタジー。
これは是非とも必読したい作品ですね。
本作は、〝現代知識チート転生のテンプレ〟を風刺したコメディ、だと思います。
主人公は転生先で転生前の知識を用いて無双しようとするのですが、その目論見はうまくいきません。
それは────(※以下は、本篇にて)
繰り返しシチュエーションのギャグです。
ここでもう面白いです。
しかし何故か、私には人の中で生きることへの寓意でもあるような印象を受けました。
〝どこまで行っても上には上がある〟
なにせ、どの分野であれ一番の人は一人きりなのです。
その他の人は厳密に言えば全員、無双など出来ない。
優勝劣敗の原則です。
世界を移って替えても自分は変わらない。
しみじみと考えてしまいました。
本作は凡百の現代知識チートとは一線を画すコメディです。
ぜひ、ご観覧ください。
特に何か秀でた才能がない人が異世界へ行ったらどうなるか……という話。
他に転生してきた人たちも元々前の世界でも何かしらの特技があってそれを異世界で活かしている人ばかりだし、異世界に元々いた人たちも才能に溢れていて、既にいろんな分野で活躍している人ばかりだし、主人公が異世界で生活する物語なのになんかすごい現実世界の話をされているような気分になります。
最後まで読むときっと驚くと思います。まさかそんなところまで無双する奴が他にいるのかと……。
なにかしらチート能力をもらったうえで異世界へ行っても、現実的に描くと、こんな感じになってしまうんじゃないかなぁと思いました。
サクッと読めるし、少しでも気になったらご一読をおすすめします!