パシるメロス

くまもと くまごろう

第1話 メロスは妹たんにメロメロっす

 メロスは激怒した。


---以下のようにメロスは思考した---


 お兄ちゃんまだ独身なのに、妹ちゃんが先にケッコンしちゃうなんてー。


 義理の弟ができるなんて、考えてもみなかったよー。



 待てよ、もし万が一、お兄ちゃんのほうが先に結婚してて、もしも、奥さんに妹ちゃんか弟くんがいたら、もしかしてもしかして、義理の妹弟ができちゃってたんじゃねーの?


 それか、奥さんに年上のきょうだいがいたら、やっぱり、義姉とか義兄とかいる可能性も、なくなくね? なくなくなくなくね?

(「二重否定・強い肯定」なのかマイク□ソフト社の校正注が ” 否定の連続 ” と要らぬツッコミを入れてくるか)


 そうするってぇと、昼ドラマにありがちな舅・姑・小姑・小舅が主人公(この場合は義弟くん、メロスの脳内では自分自身)をいじめて、異世界転生ラノベによくある「ざまぁ」展開されちゃう流れッスか?


 そいつはちょいと困ったことになるなー。自他ともに認めるシスコンだけど、いやそこはおいといて。もしも、お兄ちゃんが義弟くんの立場になったとしてもー、「ざまぁ」展開は避けたいしー、ってゆーかー、あんまり他人に意地悪するのって、良くないと思うのー。日々の不徳の積み重ねって、孫に報いがくるってゆぅしぃー。(異世界儒教的世界観なメロスだった)


 よし、義理の弟くんにきょうだいが何人いても、妹ちゃんに接するおにいちゃんのようにふるまうぞ!



 --以上で主人公の思考の暴走が終わり、デウスエクスマキナがはじまる--



 そして、メロスには、大勢の義理の年下のきょうだいが増えた。

 

 休日になると「おにいちゃんジャ〇プかってー」「おにいちゃんポケ〇ンカードほしいー」「おんぶー」「だっこー」「かたぐるまー」「メロスさんお願い、粉ミルクと紙おむつ買ってきて」とパシらされるメロスが見られるようになったそうだ。


(『パシれメロス』・完)

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