想い出の満州

ブリさん

第1話 はじめに

N2008204WEB使


祖父の代より幾度か試みた 大陸侵攻の夢

伸びようとする者たちの宿命と云う

資本主義の生む悲劇と云う



しかし果たしてそうであろうか 正義と人道の理想は ただ一つであるものを戦うものは互いに正義と平和の旗を掲げる

そこに数知れぬ人の命が むなしく消え おびただしい血潮が 草を 土を染めて流れる!


歴史の多くは是によって変えられた



再びこの禍を起こさぬように

若き純血を取り立てたものは何か 私もその1人 またと帰らぬ青春を


満蒙の草原に惜しみなく捨て

死を見つめつつ

いささかの悔いを感じなかった私を

今静かに別人のように省みる


大陸の打ち立てた 五族協和の砂上の塔よ。


 お前は、シャボン玉のように膨れに膨れ五色の色さえ輝かしたのに一瞬にして空に消え、そして私達は、総決算の責に負う針の山を登る地獄の人の様に生と死の接戦をよろめき倒れながら歩き続けた五カ年の月日。

 私達は何をしたと云うのかと叫びつつ暗黒の中に仄かに見ゆる「生」と云う一点を見つめつつ。

 そしてそこに無理にも祖国再建を描きつつ、友と互いに生ある事を確かめあって歩み続けた抑留の途、大いなる歴史の流れの一コマであるけれど、身をもって体験した。

 私の青春の記録は、一部の人には価値あるものと信じつつ激しく生活の戦いの中で 辿々しく書き続ける。


書く時間と才能がないため、最も簡単な「短歌」の形式をとった、従って理解し難いものと思う。

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