からかさ小僧の、お正月!

崔 梨遙(再)

1話完結:1000字

 からかさ小僧は、女性のからかさと同棲している。何故、結婚しないのか? お互いに戸籍や住民票が無いからだ。


 年越し蕎麦を食べて、新しい年が来た。


「あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとうございます」


「傘男さん、新しい年になったので、ハッキリしてほしいことがあるんだけど」

「え! 何?」

「あなた、私と洋傘の洋子ちゃん、どっちが好きなの?」

「な、な、何を言ってるんだよ! 傘子に決まってるじゃないか」

「だって、最近、傘男さんは洋子ちゃんとよくデレデレと話してるじゃん」

「あれは、勉強ためにいろいろと聞いてたんだよ」

「勉強? 何の勉強よ」

「だって、今は洋傘の方が売れてるだろう? 売れる秘訣を聞いていたんだ」

「それで、洋子さんはなんて?」

「もう番傘は時代遅れじゃないか? ってさ。今から頑張っても番傘が売れるのは無理! って言われたよ」

「何よ、ムカつく言い方ね。ちょっと自分達が売れ筋だからって」

「俺達、このまま絶滅してしまうのかなぁ?」

「そんなことはないでしょう? 着物を着るシーンとか時代劇では使われるじゃない。だから、そんなに落ち込まない方がいいわよ」

「洋子ちゃんには、コンビニで売られればいいって言われた」

「あ! あなた、まさか?」

「ちょっとコンビニで吊されてくるよ」

「それで気が済むなら、いってらっしゃい」



「ただいま」

「おかえりなさい、どうだった?」

「1週間もコンビニの傘置き場に吊されたけど、誰も買ってくれなかった」

「ちなみに値段は?」

「千円」

「千円でも売れないかぁ……」

「ふて寝する」

「待った、その前に!」

「何?」

「また洋子さんと楽しくお喋りしてたでしょう?」

「コンビニで売られても売れないから、ちょっと相談しただけだよ」

「さあ、どうだか。洋子ちゃんと浮気してるんじゃないの?」

「俺が愛しているのは傘子だけだよ!」

「じゃあ、証明してもらうわね。ちょっと傘を開いてみてよ」

「これでいいのか?」

「うん、そのままで。私がちょっと書き込むから」


「何だよ、これ! 『I love 傘子』って大きく書いて恥ずかしいんだけど」

「それで外を歩いてくれたら、洋子さんと浮気してないって信じるから」

「これじゃあ、俺、ますます売れないじゃん」



「いいのよ、どうせあなたは売れないんだから。あなたは、私だけのもの」







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からかさ小僧の、お正月! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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