日替わり男女

一翔一羽十

-2日目 前日譚

県道51号線沿いにある大きな社が目立つ川越氷川神社に高校入学の2日前の4月5日にお参りに行った。いつも何かあるたびに来るわけでもないがせっかくの高校生活なのでお祈りをしても良いと思った。二礼二拍手一礼を前の人の見様見真似で行い高校生活安泰を願った。

せっかくだし絵馬でも書こうと思い『高校入学の日に美少女になりますように』と書き絵馬トンネルに吊るした。

用も済んだので時間があるなら菓子屋横丁でも歩こうかと時間を確認するためにバッグからスマホを取り出そうとした。スマホの上には赤い一冊の本のような物があった。そういえば行く前に父親が「行くなら御朱印を貰ってこい」と御朱印帳を渡したんだっけ。

仕方ないので御朱印を貰いにもう一度境内に入っていたのであった。


御朱印を書いてもらい時刻は14時。菓子屋横丁をブラブラとしていると謎のおじいさんが道のすみっこで物を売っていた。遊びに来たのだろう中学生達に声をかけ謎な物を売りつけている姿をジッと見ていると標的が俺に変わった。


「そこのにいちゃん良い物売ってるからそんなとこで見てないでこっちに来な」


「いや、結構です。お金も無いので」


適当な嘘で逃げようとしたがこのじいさん俺を少し前から目に付けていたらしい。


「お金が無いなんて嘘はいかんよ。さっきそこで梅漬けを買ってお釣り貰ってたでしょ?」


梅漬けとはテントで販売している店の商品のひとつで『あご』なども売っている。

流石にこのじいさんはやばい奴だと感じたので渋々見に行く事にした。


そこの店(テント)は良く言えば万人向けの店で悪く言うと粗悪品の宝物庫だ。白かったであろう黄ばんだスニーカーが片方しかないのに500円だったり、使い古されたゴムがヨレヨレの下着が700円とゴミばかりが並んでいる。

何も良い物が無いので無言で立ち去った。後ろから何か言ってるが聞こえない。いや聞く気がない。あんな店をよく出せたと賞賛したいほどであった。


きゅうりの漬物を近くのベンチに腰掛けて一口一口を味わって食べた。よく周りからはオジサンみたいな味覚をしていると言われるのはこういう物を好んでいるからと理解しているがそれでも好きな物は好きなので止めるつもりはない。

きゅうりの棒を店で捨てクレアモールに向かった。


クレアモールは謂わば商店街だ。ゲーセンで小学生達が格ゲーで遊んでいるので対面の機器に座り参戦して泣かせて帰らせてしまった。すまない少年たち。

トンキホーテーの中を物色して何も買わずに出ていった。


川越駅に入り東武東上線で自宅に帰る。急行で朝霞台まで行き父親と駅のの近くにあるビルの居酒屋で合流し夕飯をとった。珍しく父親の知り合いが沢山いて、帰るまで絡まれたのであった




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日替わり男女 一翔一羽十 @akitogethu

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