第8話「レジェンダリー勇者たち③」

二人連続のレジェンダリー勇者の判定に

クラスメイトたちも湧き立っていた。


魔王討伐が思ったよりも

簡単に終わるかもしれない。

という期待感と――、


レジェンダリーに判定されたのが


一人は、シンプルな防御系のスキルで


もう一人は、能力こそ強いが

クラスのカーストでは最下位に位置する

厨二病くん――。


そんな二人がレジェンダリーに判定されたなら

という期待感が出てきたのだろう。


続々と自分から固有スキルを発表したい

と言いだす奴らが増えた。


固有スキルは成長させることもできるらしいし

案外、勇者のランクの判定も甘いのかもしれない。


生徒の大半がレジェンダリー判定を受ける

って可能性も多いにあるぞ……と

思っていたのだが――、


「あなたの勇者ランクは『』ですね」


「あなたの勇者ランクは『』ですね」


「――――『』ですね」


「――――『』ですね」


……………………


…………


……


あれからもうクラスの半数くらいが

女神にランク付けをされたが……


『アンコモン』が大半を占め

ちらほらと『レア』や『エピック』などがいるくらいで


最高ランクである『レジェンダリー』の判定をもらう者は……。


個人的にはレジェンダリーになっても

おかしくないようなスキルを持つ奴もいたが……


例えば、『』的なスキルとか。


異世界で近代兵器を持ち込んだら、無双できそうな気もするが……


魔王には通用しないと思われたのだろうか、

評価は『』どまりだった。


中にはおかしなスキルを持つ奴らもいて


『正義の心を持ち、人々を守る変身ライダーに変身するスキル』


決闘者けっとうしゃになってカードゲームを使って戦うスキル』


『地上最強の男になれるスキル』


Thisディス isイズ Craftクラフトが使えるスキル』


個性的なだった。


一部のスキルは男子生徒たちから歓声が飛び

女子生徒たちの目線は冷ややかだった……。


あとは、部活をしている女子とかは

『バレーボール』っていうスキルもあったな……。


これらの情報から察するに、固有スキルは

……


周りもそのことに薄々勘付いているような気がする。


そして、俺の固有スキルは

使』で、……


こんな能力をコイツらの前で発表したらどうなるか……




――いや、俺めっちゃと思われるじゃねーか!




やばい。めちゃくちゃ恥ずかしくなってきた。


どうやって誤魔化そう……。


せめて、って部分は隠して、あくまでってことにすればダメージは少ないか……。


……よし、それで行こう!

あくまで俺は


これだけ色物スキルが出てきたんだ。

俺もその色物スキルにまぎれてやる。


そんなことを考えていると――


「それでは次の方どうぞ」


丁度良い。俺もこの辺で発表しておくか。


俺が前に出ようとした――、


「じゃあ、そろそろ俺も行ってみようかなぁ」


不良のトップ、『唯有ただあり 武尊たける』が前に出たので

俺は即座に引いた。


まぁ、コイツの後でいいか……。

別に譲ったわけじゃないし。

まだ様子見したいだけだし。


「それでは、名前と固有スキルをどうぞ」


「『唯有ただあり 武尊たける』――スキルは『唯我独尊ゆいがどくそん』――『指定した対象のステータスよりも必ず高い数値になる。副次効果――指定した対象のステータスを確認することができる』って書いてあるぜ女神」


「ほう……」

女神の目つきが変わった。


スキル名が『唯我独尊ゆいがどくそん』……って

大分ヤバいな……。


でも、か……


俺はステータスについて軽く調べるため

自分のステータス画面を開いてみた。


―――――――――――

手繰てぐり 大和やまと:Lv1>


【 生命力 】26/26  

【 魔力量 】33/33

【物理攻撃力】24

【物理防御力】26

【魔法攻撃力】33

【魔法防御力】28

【 素早さ 】21


【固有スキル:コントローラー使い】

触れた物を顕現けんげんしたコントローラーで操ることができる。

―――――――――――


『ステータス』っていうのは

自分の名前の下にある、生命力とか魔力量とか


幾らステータスが上がろうとも

おそらく一番重要なのは固有スキルだ。


ふん、じゃあ俺のほうが強いな。

俺は人を操れるんだぞ?


唯有ただありくん、?」


そういえば、唯有ただありのスキルには副次効果……?

として


「さっきから見ようとしてんだけどさ……


……?


「そうですか。……では、……兵団長、木製の剣を2本と兵士を一人お借りできますか?……この子と試合をさせてみます」


試合……?


「問題ありませんか?」

「別にいいぜ」


唯有ただありと兵士はそれぞれ木剣を手に取り

お互いに向き合う。


「女神様……さすがに子供と試合は……」

兵士は乗り気ではないらしいが――、


「手加減抜きでお願いします。それがこの子のためになりますので」

「本気で別にいいぜ。なんか負ける気しないし」


女神からの言葉と

生意気な子供の発言に思うところがあったのだろうか。


「分かった……後悔するなよ……」

兵士もどうやら本気でやるらしい。


おいおい、相当訓練している大人の兵士と15のガキだぞ?

普通、勝負にならないだろ……


固有スキルでどうにかなるもんなのか……?





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