7 文フリ会場への突入時間についてセコイ妄想をする

 さて帰ってきたがバタンキュー手前だ。

 調べるべきことは山ほどあるのに……!


 いったん仮眠をとるなりすれば、思考能力は回復するだろう。

 が……ただちに俺は

(明日の納入にトラブルはないか?)

(指示漏れはなかったか)

(くどすぎて現場の気分を害していないか)

(あの人は二回念押ししてダメだったが、明日は大丈夫か)


 などと考え出すだろう。おそらくそうなる。

 今さら考えても賽は降られた後でだ。空中を飛んでる。

 もう心配してもムダだとわかってるんだが、今の俺はまずそうなる。

 なのでボーっとしたまま、今なんとかPCを立ち上げてがんばって益体のないことを考えている。


 さて……文フリ広島会場に推参するのは、開場すぐがいいのだろうか、昼過ぎからゆったり終了時間まで、ぐらいのタイミングがいいのだろうか。どちらだろう?


 公園の露店市ではよくある状況だが……。終了時間が近づくと投げ売りが始まる。

 千円の値札が数百円になる。

 その値札が百円になる。

 ひどいときには

『ご自由にお持ちください』

 になる。


 いやいやいや! ないない。そんな半額だのタダだのさすがにないわ。

 本は腐らないし、まとめやすく、さほど重くもない。そもそも会場まで持ってこれたのだから、格納して持って帰れるに決まってる。


 ……でも、せっかくだから一人でも多くに手に取ってもらいたい……なんて心理は動かないかな。ちょっとは安くなったりしないかな。


 蚤の市や、露店ストリートイベントの終盤ギリギリの闘いはなかなか面白い。

 まごうことなきリアル心理戦だ。

 残り30分! 25分! 20分!

 しかし押さえろ!

 実はコレぜったい欲しい、しかしそれを売り手に悟られたら負けなのだ。


「うーん、さほどでもないけどどうしよっかなァ」


 みたいな態度をうまくとりつつ、合わせ買いとか値引きに持ち込むと勝利感あるよね。

 ……ないです?

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