後に死ぬ最強キャラに転生したらしい

季冬兎希

プロローグ

episode1 狩人と穢

空気中は、ホコリや砂で灰色に染まり地面には瓦礫や死骸が散乱しており足の踏み場がない状態。


ビルは、無惨に崩れ落ち、木は欠け折れ、地面には、ヒビが入り盛りあがっている。


美しい北海道の景色は、見るも無惨だ。


これは、全て穢に寄って起こされた被害である。その無惨さを見つめる一人の少女が居た。


「んー⋯これは復興が大変だー」


死骸の山頂に立ち両腕を天に上げリラックスした状態で少女は言った。


「それより、会議どうしよ。今から向かってもギリギリだよねー、まぁ⋯大塚さんと一緒に行けばいっか!っと」


高さ約10mある死骸の山頂から飛び降り見事着地し軽い足取りで歩いていった少女。


名は、白柳幸しろやなぎ さち

主に東京中心に活動しており今は、特別任務で北海道へ出張中の弱冠17歳にして英雄と呼ばれる狩人である。


◇◇◇


始まりは、2030年、今から17年前 。

初めて地球にけがれの存在が判明した。被害は、周辺の村が丸々被害に合い死亡者は32人。後にこの事件は、最初の悲劇と言われることになる。

今現在は、穢に対抗すべくある武器が開発され、主な物質は、穢れの体内から検出される黒い石、すずりを使われており一見ひし形の宝石のような見た目なのだが利用者の血を吸い取り武器に変化する。

変化する理由としては、穢が血肉喰らい形が変化する性質だからでは無いかと様々な考察がとんでいるが事実は今も明らかになっていない。



◇◇◇



「あー、大塚さん発見!そっちの状況はどう?」

「おぉ、嬢ちゃんか。いゃー酷いなこれは」


幸の問に答えた大柄の男は、大塚菫おおづか すみれ北海道を拠点に活動する狩人だ。名前と見た目が合わないことを気にしている可愛い一面もある(by幸)。

本来ならば北海道で起きる穢は、そこで活動する狩人の仕事なのだがイレギュラーと人手が足りないことが重なり東京で活動する幸が派遣された。東京が今一番人手が足りていることも理由にある。


「あちゃー、そっちもか」

「その反応だとそっちもヤバそうだな」

「うん、現にやばいよー、まじで瓦礫と死骸尽くし、もうオンパレードよ」

「いやー、申し訳ねぇな、他県のことなのによぉ」

「別にいいよー、人間助け合いだしね!お礼は、北海道名物でいいよ!」

「ハハッ、結局ねだるのかよ!あぁ 、しっかり部下達に準備させる」

「やったー!楽しみ!あ、それより会議どうする?」


会議とは、年に二回開催され八地方区の代表する狩人が集い穢の被害や出没数などを報告する集まりである。

もちろん、北海道代表である大塚も関東代表の幸も行かなければ行けない。


「あぁ、会議自体は、20時に始まる、今はっとーもう18時か…ギリギリだな」

「だよねぇー、まぁ私事じゃないから遅刻しても許されんじゃない?今から急いで乗って帰ればちょい遅刻でしょ」

「まぁ、そうだよな…よし急いでプライベートジェット機に乗って向かうぞ」

「おー!」





◇◇◇





19︰50 ある会議室


円形型の机を囲むように設置されている八の椅子。一見見てみれば同じに見えるがよく見ると違うところがある。


背もたれのてっぺんのある部分に切り抜きの飾りが付いているのだ。


北海道は、時計台とラベンダー。

東北は、大内宿と稲。

関東は、東京タワーと桜。

中部は、白川郷と紅葉。

近畿は、清水寺と藤。

中国は、嚴島神社とネモフィラ。

四国は、小豆島とコスモス。

九州沖縄は、シーサーとハイビスカス。


地方の有名な物が切り抜きとして椅子に飾られている。


少しでもその道に進んでいるものがいるとすればその美しさに目を奪われるだろう。

それほどその飾りは美しい。


その内席が埋まっているのは、4つ。


東北代表 明真申竜也あまもう たつや

中国代表 輝李万久宇羅てりま くうら

四国代表 姫宮妃茉莉ひめみや ひまり

九州沖縄代表 犂夏莉すきか れい

以下4名である。



杏椰あんや君とうい君がギリギリまで来ないのはいつもの事だけど大塚さんと幸ちゃんがこんな時間になっても来ないのは珍しいね〜」


そう発言したのは、輝李万久宇羅。

少し長めなミルクティーの髪をハーフアップにして結んでいる一見優男に見える男だ。

軽い言葉に軽い見た目で見る人が見たらチャラ男にも見えなくもない。


「幸ちゃんは、大塚さんの所に緊急要請がきて北海道へ行っているわ〜、さっき終わってそっちへ向かうって言う連絡が来たから少し遅れて来るんじゃないかしら」


そう答えたのは、犂夏莉。

碧みかがった艶のある黒髪を下ろしおっとりとした口調で喋る彼女は、お嬢様という言葉がピッタリだろう。現に涼しげな顔立ちは、いつも微笑みを絶やさない。


するとその時ある1人の青年が入室してきた。

艶のある漆黒とも言うべきサラサラとした髪に冷たい印象を与えるつり目ガチな目元、まさに美青年とも言える青年は、中部代表 黒峰憂くろがね うい


「久しぶりだね〜憂君、元気にしてた?」

「はい、久しぶりです久宇羅さん」


すると目立つ赤髪に整った人懐っこい顔立ちの好青年と言える青年、夜鴻杏椰やこう あんやが入室してきた。


「あ、杏椰くんも久しぶり〜元気?」

「はい!久しぶりです、久宇羅さん!勿論元気にしてましたよ!!久宇羅さんも元気でしたか?」

「もちもち〜、元気にしてたよ〜最近風邪が流行ってるみたいだから気をつけなね〜」

「分かりました!久宇羅さんも気をつけて下さい!」


「ハッ馬鹿だから風邪引かないだろ」

「あぁ、なんだと、お前なんて言った」

「馬鹿だから風邪引かないだろって言ったんだ、難聴かお前耳鼻科に行ってみたらどうだ」


「あ〜また始まった…」

「ホホホッ、若者は元気じゃの〜」

「ヒッェ!」

「これは元気なのかしら…?」


そう言い争う杏椰と憂は顔を合わせる度喧嘩する世に言う犬猿の仲だ。

その様子を見て呟く久宇羅に感心する明真申竜也、怯えて身体を丸める仕草をする姫宮妃茉莉、竜也の言葉に疑問を抱く犂夏。


どんどんヒートアップしていく杏椰と憂。


収拾が着くのは今から5分後に幸と大塚が到着した頃だった。

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