第6話
午後になり、藤森と倉沢がハルのもとを訪れた。
藤森はベッド脇の椅子に座り、倉沢はその横に立っている。
「尾崎は小腸イレウスだったよ、腸閉塞」
「え?なんで?」
「ウイルスか細菌だろうね。腸に炎症が起きて閉塞。あと白血球数が異常値」
「いつ退院できる?」
ハルの問いかけに、藤森は思わず可笑しそうに笑った。
その様子を倉沢がちらりと見ている。
ハルは眉をひそめる。
「なに笑ってんだよ」
「尾崎が入院生活なんか送れるわけないのに、最初の判断よく入院になったよな」
藤森は笑いながら倉沢に視線を向ける。
倉沢は黙ったまま軽く首を傾げるだけだった。
そのやり取りを見ていたハルは思い出したように口を開く。
「私と藤森が知り合いなの、ちゃんと説明しなさいよ。変な誤解されるでしょ」
藤森は笑うのをやめないまま、からかうように返す。
「困りますか?」
「困ります」
被せるようにハルが答える。
藤森は倉沢の方に視線を戻す。
「ただの飲み友だよ」
ハルもすかさず補足する。
「1回、たまたまカウンター席で隣り合っただけ」
「なんだよなんだよ、冷たいな。まあでも、その通りだ」
倉沢は「へえ」とだけ返す。
興味があるのかないのか判別しづらい、短い相槌だった。
その反応を見て藤森は立ち上がる。
「入院は1週間くらい。炎症が引けば閉塞は自然と改善するからな」
「承知」
ハルは小さくため息をついて返事をした。
まだたった一晩しか経っていない。
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