第4話

目を覚ますと16時を過ぎていた。

病室では1日が妙に長く感じる。

ベッドサイドには母に頼んだ荷物が置かれていた。


「尾崎さん、いいですか」


ハルが再びため息をつこうとしたタイミングで、カーテンが開く。


「倉沢先生」


「痛みはどうですか、ちょっとお腹触りますね」


「痛みはだいぶ良くなりました。結構頻回に来てくれるんですね!」


「いえ、さっき診察できなかったんで」


「ああ、お喋り藤森は仕事していかなかったね」


淡々と触診を終える倉沢に、ハルは思わず笑いを引っ込める。

そのまま、言葉が続くのを待つように視線を向けた。


「それじゃ」


短く言って、倉沢はすぐに病室を出ていった。


「まあでもそんなもんか」


ハルは点滴を見ながら小さく呟く。


働いているときは、1日なんてあっという間だった。

それなのに、時間だけが妙にゆっくり流れていく。

「もう16時?!」と定時に向けて慌ただしく動いていた日常を思い出す。

現実との落差に少しだけ心が追いつかない。


「それは薬で痛みが引いて、気持ちが楽になった証拠ね」


点滴交換に来た看護師はそう言って笑った。


ハルのベッドは廊下側にあり、カーテンは閉じられている。

夕方なのか夜なのかも曖昧な光の中で、時間の感覚は薄れていく。


病室の1日は、食事の匂いと巡回の気配、そして消灯の時間だけで形を作っていた。

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