第2話 第1の事件現場での調査

部屋のドアを開けた瞬間、津田篤宏は後悔した。「いや、これはやりすぎやろ……」

部屋の真ん中には若い男性が倒れていた。血が床に広がり、その近くに割れたグラスが転がっている。だが、何よりも不気味なのは、部屋全体に漂う異様な静けさだ。


「……これ、ほんまに大丈夫なん? 俺、やっぱ帰ってええ?」

ディレクターが慌てて津田を部屋の中へ押し込む。

「津田さん、探偵らしくお願いします!」


津田は渋々部屋の中を歩き回りながら、現場を「調査」することにした。


津田、事件現場を調べる


「うーん、まずは……なんか落ちてるもん探したらええんやんな?」

津田はとりあえず床をじっくり見つめる。血の中に散らばる割れたグラスの破片を拾い上げると、「これ、証拠品やろ!」と自信満々にスタッフに見せた。


しかし、そのグラスには何の異変もない。ディレクターが「それただの割れたグラスです」と指摘すると、津田は顔を赤らめた。

「いや、そんなん言うなや! これが犯人の手がかりかもしれへんやろ!」


部屋を歩き回るうち、津田は棚の上に置かれた小さな箱を発見する。中を開けると、なぜか古びた鍵が入っていた。

「これや! これ、絶対大事なやつや!」

津田が得意気に叫ぶと、背後からオーナーの声が飛ぶ。

「あ、それは部屋の予備鍵です……」

「ええ加減にせえや! わざとやってるやろ!」


津田の声が響き渡る中、宿泊客たちが部屋の外で様子を伺っているのが見えた。


宿泊客たちへの初質問


津田は事件現場の調査を諦め、廊下で待っていた宿泊客たちに話しかけることにした。

1.大学教授風の男性

津田が話しかけると、彼は冷静に自己紹介を始めた。

「私は大学で心理学を教えている者です。ここには休暇で来ました。」

「心理学!? それ、なんか関係してるんちゃう?」

津田が興味を示すと、教授は意味深な笑みを浮かべる。

「探偵役の方が私に興味を持つとは……面白いですね。」

津田は「こいつ、絶対犯人やろ」と心の中で決めつけたが、口には出さなかった。

2.カップル

次に津田は若いカップルに話しかけた。男の方は明らかに動揺しており、女の方は腕を組んで不満そうだ。

「あの、あたしたち本当に関係ないんで!」女が先に言い訳をする。

「いやいや、そんな言われたら余計怪しいやん!」津田が突っ込むと、男がさらに青ざめた。

3.一人の女性

カウンターに座る女性は、津田をじっと見つめていた。

「あなた、本当に探偵なの?」

「いや、俺も自信ないけど、一応探偵やって言われてんねん!」

女性は微かに笑ったあと、「それならこのペンションの秘密を知ってる?」と謎めいた言葉を残して去っていった。


不穏な空気と新たな手がかり


宿泊客たちの話を聞き終えた津田は、再び事件現場に戻る。部屋の隅で、ペンションのオーナー夫婦が何かを片付けているのを見つけた。

「ちょっと待って、それ何してるん?」

オーナーが慌てて手にしていたものを背中に隠す。津田が無理やりそれを奪い取ると、中には古びた日記帳が入っていた。


日記帳には「白樺ペンションの過去」と題して、30年前の奇妙な出来事が書かれていた。

「これ、絶対大事なやつやん! 俺、これ解読してええ?」

スタッフが「ぜひお願いします」と答えると、津田はその場で日記帳を開いた。


突然の停電


読み始めようとした瞬間、館内の電気がすべて消えた。

「うわ、やめてやめて! これほんま怖いやつやん!」

津田が叫ぶ中、遠くからまたしても女性の悲鳴が聞こえた。


津田は懐中電灯を片手に、スタッフと一緒に悲鳴の方向へ走った。しかし廊下の途中で、突然背後に足音が迫る――。

「ちょ、待って! 誰かおるやん!!!」

津田の絶叫が、ペンションの不気味な静けさの中に響いた。

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