四人目(……!)「染芽野 花緒里(そめや かおり)」=???
「ふむ。……フロア一つという大きな密室で起こった殺人事件、居合わせた三人の容疑者……果たして、花嫁さんを殺害した犯人は、誰なのか……」
高校生探偵・サエが、細い顎先に指をあてて、推理している。
――のを、この部屋にいる人物の中では、最も低い位置で聞いている者の心中は。
(……スイマセン、生きてます……生きてまァす……)
花嫁である。
繰り返す―――花嫁である。
もっと言えば、白薔薇と称される高級ウェディングドレスが、赤薔薇のように染まっているのを身に纏い、絶賛・死亡中と思われている花嫁である。
なぜ彼女が――〝
(ああ、ああ……なんで、こんなことに……わたしは、わたしはただ、このウェディングドレスが何だか妙に気になって、ほんの少~しだけ、のつもりで試着して……なんか気が大きくなって、テンション上がって、赤ワインをがぶ飲みした結果……思う様にむせ返り、口から赤ワインを
結構、本人の過失としか言いようがない、が――思惑は虚しくも続く。
(救急車でも呼んでくれれば、なし崩し的に誤魔化せたりして、くらいにおもってたのに……いやまあ、後で請求されるかもだけど……ていうかこのドレス、マジ高そうだけど、いくらくらいなんだろ……い、意外とそんなでもなかったり? だったら早く起きて、〝な~んちゃって♪〟で笑い話にできれば――)
「あの、ところで当ホテルの
「ふむ。
(ピッピエエエエエエッ!? お、起きれない……おっ起きれるかァァァ! ああああ、わ、わたしがつい出来心で、こんな
時が経つほどに事態が悪化している気がしないでもない、が。
そしてそして。
次は――――
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