二人目――「鷺田増 金好(さぎだます かねよし)」=結婚詐欺師
「ハア、ハアッ……ハアー、ハアーッ……ゲホッ、ハッ、ゼエッ、ヒイッ……!」
容疑者の一人とされてから、急激に息切れし、見る見るうちに顔色が悪くなっていく彼は――〝
女性に結婚を持ち掛けて騙す、即ち結婚詐欺師である――述べるだに口も腐ろうという悪党だが、悪事に慣れているとは思えぬほど、焦燥の只中にある。
そんな彼、鷺田増の心中とは。
(お、おお、おれは違う、おれは殺人なんてしねえっ……女を騙しては金を巻き上げ、そらもう闇金〇シジマくん
「むっ。何やら五十歩五十一歩な、
「……ヒ、ヒイイッ!? い、いいいいえ、おれじゃないですっ!? これは違う、こんなことは――」
「こんなことは? それではまるで、何かはしているように聞こえますね。まさか犯人と共謀でも? 全く、結婚詐欺師のような顔をして……」
「ヒィンッ!? ……あっいや、ししし、失礼でしょぉが! ま、全く、ゼエゼエ……と、とんだ濡れ衣だぜ~ぇ、ゲホゲホッ、オエッ……」
「ふむ。……それは失礼しました。ですが、ならば……なぜそんなにも吐きそうになるほど焦っていらっしゃるのでしょうか?」
「!!! そ、そほぉんっ……そ、それはぁ……その、ッホォウ……」
しどろもどろになる、鷺田増が思うのは――
(い、い……言えるかァァァァ! 殺人事件の犯人じゃなくたって、別の事件だし! ああ、何でこうもタイミング悪く、殺人事件が起こって、しかも探偵まで……こ、このままじゃ犯人にされちまう、かと言って、おれの正体なんて……)
一人で勝手に追い詰められ、汗だくになって息切れする鷺田増――そして、次の容疑者は。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます