ハイカット

yu3l

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豪雨。


街の喧騒は白飛びしてかすかに残るだけ。


沢山のクリスマスツリーみたいに並ぶビル群は真っ黒な天幕に沢山の光を落としている。


さっきまで傘の柄にほんのり残っていた温もりはいつの間にかさめてしまった。


もしかしたらあの光の粒のひとつを灯しているのはあの温かさなのかもしれない。


強まる雨。


ますます光景は玉ぼけ。


しかし、あなたがくれた長靴は私の靴下を濡らすまいと雨を弾いている。


すると、雨音を飛行機が遮った。


もちろん、その曳航を誰も見向きやしない。

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