23時の王子様とのホワイトデー
遊野煌
第1話
「美弥、これは?」
「えと……可愛いけど……」
私の隣の颯は、赤ちゃん雑誌『たまごちゃんクラブ』を眺めながら、新生児用の子供服を真剣に選んでいる。
(予定日まで、まだ半年あるのに……)
今日は、ホワイトデーだ。
颯から、デートしようと誘われて有給を取得したのだが、颯が私を連れて来たのは、都内の、赤ちゃん用品店の『ベビベビざらす』だった。
「男の方は、恐竜柄にするか、クルマ柄にするか……いや、クマ柄か?」
颯の赤ちゃんの洋服を見る目は、サバンナの獲物を狙うごとく真剣そのものだ。
「待って、颯。まだエコーで、多分、男の子と女の子って言われたばかりで、性別確定した訳じゃないから……」
「いいじゃん、別に。双子の性別が変わって、例えば、女、女なら、次、男かもしんない訳だし」
(ん?今、颯何て言った?)
私は、目を丸くした。
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