第17話 身支度
先日、母が亡くなった。
舌癌やったんやけど入退院繰り返してた。
最後の入院で後1ヶ月もたんかも…と言われ、母の意思を汲んで最期は家で過ごすように準備を整えた。
当初は皆に迷惑かけたくないと家に帰るのを躊躇っていたものの、本心では家に帰りたがってたから帰ってこれて喜んでた。
私も嬉しかった。まあ準備はほんまに大変やったけどね…。母が喜んでたから良し!
帰ってきて3日目の朝、母が歯を磨きたいと言った。訪問看護を頼んでたから、看護師さん来たら頼んでみる?と聞くと自分で頑張ってみると言ったので手伝えるとこは手伝って何とか歯磨きを終えた。ほとんど寝たきりで体を満足に動かせやんのに頑張ってた。
スッキリした?と聞いたら嬉しそうにスッキリしたと答えてくれた。
その後、今日は着替えさせてもらうと言ってたから体も拭いてもらいよ〜と答えた。
それから他愛ない話をして私は仕事へ。
そして。定時の10分前に訪問看護の人から電話があった。
家に着いた時にはもう母は…深い眠りについていた。穏やかな顔やった。
母は無意識に自分の死期を悟ってたんかな…?
真実はわからへんけど。
でも、スッキリしてアチラに逝けたんやったら…よかったんかな。
もしかしたら父が迎えにきたんかもしれやんしな。
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