第26話 「貴方は生きなさい」
鮫島一翔の気が狂っている。
狂気だ。
私は...ゾッとしながらスマホを持って表に探しに行く。
鮫島一翔はどこに行ったのだろう。
そう考えながら私は走る。
「...ゴメン。ひなた...」
私は必死に祈る様に考えながら無事を願う。
それから私は走っているとパトカーのサイレンが聞こえた。
すれ違ってパトカーがどっかに行ってしまう。
というか...何だかすれ違うパトカーの数が多い。
当たり前だろうけど...捜査しているの?
「私は...愚かだ...こんな事になるって分かっていたのに」
スマホをポケットに仕舞いながら走って探す。
そして私はハッとしてからスマホを取り出した。
あの背景、というか鮫島一翔の足元に有ったもの。
見学した1日しか見た事無いけど床の色。
あれは...見た事がある。
「...まさか。旧校舎に居るの?」
私はそんな事をハッとして思いながらスマホを仕舞う。
それから私は踵を返してから駆け出す。
その場所は...この町の学校だ。
旧校舎はどっちの2校あるけどどっちか分からない。
私は直ぐに先輩に電話する。
「先輩。実は」
そして私は説明してから駆け出した。
それから私達が通っている学校に着く。
私は門から中に入ってから旧校舎に向かう。
土埃が舞う中...その場所を見上げる。
旧校舎を。
「こんな場所に...ひなたが?」
私はカタカタ震えながらもドアにゆっくり手をかける。
すると「お前...!」と苦しんだ声が聞こえた。
それは旧校舎の職員室辺りだ。
私は「?!」となりながら怒号の聞こえた方角を見据える。
そこに人影があった。
「ま、まさか」
そして私は重たい鉄の錆びた扉を開ける。
するとそこに鮫島恭一郎が倒れていた。
というか出血して倒れている。
私は目の前に視線を向ける。
そこに...鮫島一翔が居た。
「...ああ。君がこの場所への一番乗りだったんだね」
「鮫島...もう止めて。何をしているの」
「見て分かる通り...仇は打った。...だからひなたさんは解放するよ」
「仇は打ったって...捕まるよ。アンタ」
「僕はね。恭一郎さえ倒せれば何でも良いんだよ」
それから恭一郎を蹴飛ばす一翔。
そして持っていたサバイバル?ナイフをカランと音を立てて捨てる。
私を見てくる一翔。
「すまないね」と言いながら私に向いて血まみれの服を見せる。
「...ひなたさんは奥でまだ気絶している」
「そう。...じゃあもう貴方は用が済んだなら警察に捕まって」
「...いや。まだ捕まる訳にはいかないんだ」
一翔は「僕は全て殲滅するって決めたから」と言ってから私を見る。
全て殲滅って何。
そう考えながら鮫島を眉を顰めて見る。
すると鮫島は「...全てが憎い。親父も憎いから」と言い出す。
「貴方は気が狂っている」と告げながら一翔に向く。
「...貴方は...見境なく人を殺している」
「僕なりのけじめだ。...止める事は出来ない」
「...山田夕も貴方の被害者なんだから。...大人しくそういうのは止めてから捕まってほしい」
「...君にそれで僕を止める権限は無いよ」
それから一翔は「...じゃあ」と去ろうとする。
すると表からサイレンが聞こえた。
そして警官が「こっちだ」とか言ってから入って来る。
そうしてから足元を見てから「...!」となる。
「...これは...君がやったのか」
「...そうですね」
「愚かな事を。...大人しくしてほしい」
「僕はまだ捕まる訳にはいかない」
「そうはならない」
一翔を見ながら警察官は「...大人しくしてくれるかい」と言う。
2人警察官がやって来る。
それから一翔を見る。
一翔は「...」となりながら首元に新しいナイフを突き立てようとした。
その事に私は「ちょっと!!!!!止めて!!!!!」と絶叫した。
緊張が走る。
「...追い詰められた場合。僕は死ぬって決めたからね」
「そんなのただの逃げでしょう。天国への」
「...」
「...貴方は生きなさい」
その言葉に一翔はナイフを持つ手を一瞬だけ怯ませた。
その隙に警察官が一翔をひっ捕まえた。
それから一翔に手錠をかける。
一翔が再び私を見る。
そして一言こう言った。
「...君は...あくまで不思議な人だね。本当に」
私を見てから苦笑する一翔。
どういう意味だ。
それから苦笑してからそのままパトカーに乗せられた一翔。
押し込められる様に、だ。
私はその顔を見ながら「...」となってから一緒に乗って行く警察官を見ていた。
☆
一週間が経った。
結論から言って鮫島一翔は警察に逮捕されて捕まり。
鮫島恭一郎は鮫島一翔に襲撃され死亡した。
ひなたは解放され...事件は終息へと向かおうとしていた。
最悪の結末というかなんというか。
何とも言えない結末になった。
「富山も捕まった...か」
そんな言葉を先輩から聞く。
私は空の彼方を見る。
そして私は手すりを持つ。
それから私は外を眺め見た。
「...まだ終わりじゃないですけどね」
「そうだな。...正直、鮫島のアホが残した遺物を何とかしないと」
「いい加減にしろって感じですね。...頭も居ないんだから解散してほしいです」
「鮫島一家は常に狙われるだろうな」
「私達もですかね?」
「俺達が狙われた場合は叩き潰すけどな」
「...ですね」
そして私は外を見ながら手すりに頬杖をつく。
それから空の彼方を見ていた。
先輩は手すりを背もたれにして空を見上げる。
私はその姿を一瞥してから「ふう」と直角に空を見上げる。
「...色々あったな」
「そうですね。...いや本当に。もうお腹いっぱいです」
「...そうだな。もう無いよ。多分。...佐奈も沈黙しているし」
「...だと良いですけど」
それから私は手すりをまた持つ。
そして手すりに触れながら「先輩」と向く。
すると先輩は「何だ」と言いながら私を見てきた。
私はその先輩に赤面しながら「...先輩は恋をしたいですか」と聞く。
「...ようやっと落ち着いたし。...真面目な恋はしたい」
「先輩がその意気なら私も」
「...俺に猛アタックでもするのか」
「ですね。先輩が好きなので。今も昔も」
「...お前は懲りないな」
「懲りません。だって先輩が好きなんですもん」
「...今度はお前が脅威かもな」
「私は鮫島とは違います」
そして私達は向かい合い。
そのままクスクスと噴き出して笑った。
それから私達は同じ方角を見ながら太陽を見る。
空は快晴だ。
旧校舎の事件が無かったかの様な快晴だった。
「先輩。...これからも宜しくお願いします」
「...俺もな。...頼むぞ向日葵」
「はい」
私達はそのまま屋上を後にする。
それから教室に戻ってから私は頬を叩いた。」
そして「よし」と言いながら教科書を取り出してから勉強を始める。
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