第20話 留年
☆
三者面談がある。
当然、私達の学校でもある。
その事に私は考える。
将来の夢って何だろうって...。
そう考えながら私はマンションの部屋の中で過ごす。
すると向日葵お姉ちゃんが帰って来た。
「ただいま。ひなた」
「お帰り。向日葵お姉ちゃん」
「...どうしたの?少しだけなんかやつれている様な?」
「あ、うん。大丈夫だよ。...いつも通りだから」
「...そうだったら良いけど。...ひなたは散々な目に遭っているから...何かあったら相談してよ?絶対に」
「私もそうだけど向日葵お姉ちゃんもでしょう」
「私は...大丈夫。思った以上にはね」
そして向日葵お姉ちゃんは荷物を置く。
私は「...何処に行っていたの?」と聞いた。
すると「諸星先輩の家」と答える向日葵お姉ちゃん。
私は「...そうなんだね」と言った。
「...諸星先輩...大丈夫だった?」
「打ちのめされているよ」
「...そうなんだね。聞いた通りだね」
「...うん」
向日葵お姉ちゃんは椅子に腰掛ける。
それから「貴方の同級生の山田夕って奴が重要人物だと思う」と答える。
私は「...え?」となってから向日葵お姉ちゃんにコーヒーを淹れる手を止める。
そして向日葵お姉ちゃんは「彼女は...色々な事を知っているから」と答えた。
「色々な事?...どんな事」
「簡単に言ってしまえば諸星先輩の彼女さんを死に追いやっているかもしれない。鮫島達がね」
「...そうなんだね」
「彼女は...重要人物だよ」
「...鮫島もとことん地に落ちているね。それが事実だったら」
「そうだね」
そしてそんな会話をしていると向日葵お姉ちゃんのスマホが鳴った。
向日葵お姉ちゃんはスマホを見てから「...」となった。
それから電話に出る。
「...何。お姉ちゃん」
「...一翔達の情報を手に入れたから伝えておくよ」
「...どういう情報」
「鮫島一翔は...那由多さんと同じ系列の学校の生徒だった」
「...!」
「...鮫島一翔達は何らかの形で那由多さんに関わっていると思う」
「...どこの学校だったの」
「県立高校。...それも県外の」
そう言われて私は向日葵お姉ちゃんを見る。
向日葵お姉ちゃんは「...おかしくない?それ。時間が合わない」と言う。
するとお姉ちゃんは「...1年間留年しているらしいよ。...諸星くんは」と言った。
「...留年って...」
「本来なら高校3年生なんだろうね。それは前の学校の事で恭平は多分知らない過去だと思うけど。...まあ一応伝えたから」
「待って。お姉ちゃん。何でそれを知っているの。どこで知ったの」
「...私も近辺を調べているの。身の安全上」
答えながらお姉ちゃんは「...じゃあ」と言って電話を切る。
鮫島達を調べているって事か。
そう思いながら私は向日葵お姉ちゃんを見る。
向日葵お姉ちゃんは立ち上がってから電話をかけた。
「先輩」
「...おう?どうした」
「...諸星先輩は...年上なんですか?」
「え?...いや。年は知らないけど...え?」
「...今、お姉ちゃんに...」
そして説明する向日葵お姉ちゃん。
するとお兄ちゃんは「...そうなのか」と言葉を発する。
それから「アイツの事だから。まあありえなくは無いな」と答えた。
「...ありがとう。向日葵。重要な事を」
「うん。...聞いてみて」
「...そうだな。すぐ聞くよ」
お兄ちゃんは電話を切った。
それから多分、諸星さんに聞いているのだろうけど電話は繋がらなくなった。
私は向日葵お姉ちゃんを見る。
向日葵お姉ちゃんは「1年間留年って相当だね」と眉を顰める。
「...そうだね。可哀想に...」
「...多分、諸星先輩も...知りたがっているだろうね」
そんな会話をしながら私は「...」となってから考える。
そして私はお姉ちゃんにコーヒーを淹れる。
それから目の前に腰掛けた。
☆
年上だったのかアイツ。
そう思いながら俺は駆け出す。
それから俺は冷たい世界を駆けながら修二の家に行った。
そしてドアを叩く。
「修二」
「...?...恭平。お前...どうしたんだ」
「お前...何か隠してないか」
「...何を隠しているって?」
「那由多さんもお前も年上だったのか?」
「...」
「お前幾つだよ?」
「...18歳だ」
その言葉に俺は衝撃を受ける。
それから「...お前...ずっと苦悩していたらしいな」と言葉を発する。
すると修二は「...まあな。それで1年過ぎてしまったけど」と言ってから俯く。
俺はその修二の背後に何かあるのに気が付いた。
「...修二。何で鞄の横に包丁があるんだ」
「...!...ああいや。買ってきたものでな」
「馬鹿な真似は止めろ。...お前何がしたい」
「...鮫島達を殲滅する。那由多が可哀想だからな」
「お前らしくない。...止めろ」
そして俺は修二を座らせる。
それから「...修二。気持ちは分かる。だけど...」となる。
すると修二は「じゃあどうしろって言うんだ」と絶叫した。
「...俺にはもうこれしか残されてない」
「...人殺しだけか」
「...そうだ。那由多に唯一償える方法だ」
「...お前な。明菜はどうする気だよ」
俺は掴みかかってくる修二を見つめる。
苦悩...ばかりだな。
そう考えながら俺は泣き叫ぶ修二を見る。
俺はその事に額に手を添えた。
どうしたら良いんだクソ。
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