探索者登録
ダンジョンに入るにあたり、転移門の集まる駅へと移動する。
駅の使い勝手は日本と似たような感じだ。
ここでは電車の代わりに転移門が設置されていて、それを潜れば目的地へと着く。
アトランティス大陸の端にある各自治区から大陸中央部のダンジョンまでの所要時間は殆どかからない優れものだ。
『人がいっぱいだ。コスプレイヤーかな?』
そんな訳あるか。
確かに、武器や防具を身につけた人々が一箇所に集まるとそういったイベントなのかと勘違いしてしまいそうになるのも分かる。
しかし、ここはダンジョン最寄りの駅なのだ。
『あ、空飛んでるよ! おお、ステレオタイプの魔法使い。箒に乗ってる』
大陸中央は魔法使用制限が緩いらしい。
『犬耳!!』
そうだな。クラスメイトにも猫耳いるよな。今更、騒ぐなよ……
『でっかい塔だよ、シキくーん!!!』
これは確かに見応えがある。直径1キロもあるダンジョンの大穴を囲むように作られたバベルの塔と呼ばれる建築物。
この建物自体が一種の魔法具であり、効果はたった一つ。大陸全土に及ぶ翻訳魔法だ。
なんでもアトランティス大陸の一番偉い人が設計したらしい。魔法のことについてほとんど知らない俺でもわかる化け物具合だ。
ちなみに駅からバベルの塔まで徒歩一分。
アニマの興奮覚めやらぬうちに着いてしまった。
駅からすぐの入口に受付がある。
俺は新規登録向けの窓口へ向かった。
「こんにちは。新規の探索者登録ですか?」
「はい、そうです。お願いします」
「では、必要書類をお預かりします」
周りには子供ばかり。アトランティス大陸では十歳になるとダンジョンダイブするらしい。むろん、保護者付きではあるが少し肩身が狭い。
「確認が取れました。荒谷志木さんですね。それでは奥へどうぞお進み下さい」
少し緊張してきた。
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