言の葉
ユウ
プロローグ
彼に対して思う気持ちをどう言葉にすればいいのか分からない。
高校生の頃に好きになった相手。
遅い初恋の相手。
簡単な言葉で誰かに彼についての事を説明するなら、そういう感じになるのだろうと思う。
でもわたしの心は、そんな簡単な言葉では片付けられない。
彼の事が忘れられずにいる。
高校を卒業してから一度も会っていないのに、十年経った今も彼に対する好きという感情が消えない。
だからと言って、他に好きな人が出来なかった訳でもないし、他の人と付き合わなかった訳でもない。
ただ彼は、ずっとわたしの心にいる。
それはまるで消えない傷跡のように、気にしなければ忘れてしまいそうなほど薄く、それでいて気にすればそればかりが目につくほどはっきりと。
心の中に存在する。
彼に対してどうしてそんな思いを抱いているのだろう。
初恋だったからだろうか。
片想いで終わったからだろうか。
それとも、三年間同じクラスだったのにも拘わらず、挨拶しかした事がなかった未練の所為なのだろうか。
分からない。
だからこそ、彼への思いを断ち切る為にはいい機会だと思った。
同窓会の知らせをもらって——。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。