第7話

彼からこんなメールが届いたのは、お昼休憩の頃。慌てて電話を掛けるものの、再び電源を落とされていた。



彼氏のこういうところ、本当に狡い。



自分の言いたいことだけを言って、人の言葉には耳を傾けようとせず、一方的に終わろうとしている。



しかもね、"やっぱりごめん"からの、"わかのことは好きだよ"って何?



好きだけど、やっぱり別れたいってこと?


好きだから、やっぱり無理って言ったのはごめんってこと?




「あー、むしゃくしゃする!」




空になった紙カップをクシャっと握り潰し、そのままゴミ箱へ投げる。



これで運よく入ったなら少しは気分がスカッとしたかもしれないのに、投げた紙カップは虚しい音を立ててアスファルトの上を転がった。




「あ、ちょっと……っ」




なんでこんな時に限って強風が吹くかなぁ?コロコロコロっと転がって、わたし今すっごく間抜けじゃん!




「待ってよ、このバカコップ!」


「……バカコップ?」




転がったいった紙コップは、見知らぬ男の人の足元で止まった。そのタイミングでわたしが"バカコップ!"なんて叫んだものだから、訝しげな表情でお兄さんが首を傾げている。




「え?あ、いやえっと、紙コップ……です。すみません、風で飛ばされちゃって」




お兄さんは「あぁなるほどな」という表情をして、足元の丸まった紙コップを手渡してくれた。




「ほら、どうぞ」


「あ、ああああありがとうございます」

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