第28話

甘いものが好き。トマトが嫌い。


洗濯ものは裏返しで洗う派で、フローラルグリーンの香りがお気に入り。ただし、フローラルブーケ系は苦手。


スポーツ観戦が好き。ヒューマンドラマは苦手。

家に居る時は、できるだけダラダラしていたい派。


私と彼の好みはよく合っていて、もうずっと長いこと一緒にいるような気がするよね、と冗談っぽく笑ったりしていた。


まるで、自分の分身がそこにいるみたいだった。








「え?あい、今日仕事休みなんだ?」




朝のニュースを見ながらのんびりと珈琲をすする私に、ほまれは目を丸くした。


寝癖のついた髪の毛はそのままで、使い終わった食器を洗う姿は、従順なワンコそのものだ。




「そうだよ」


「まじで?じゃぁ、俺もバイト休もうかな」




ほまれは、派遣のバイトをするようになっていた。


交通調査だったり、宅配会社の仕分けだったり、ハードな仕事も多いが、その日のうちにお給料を支払ってくれるのが、魅力的なそうで、約束の1つだった生活費も、ちゃんと入れてくれている。


たった1ケ月くらい、ほまれを養ってあげることも出来るけど、これはけじめだ。




「駄目だよ、急に休んだりしたら周りに迷惑掛かるでしょ?」


「ううん、大丈夫!仕事の2時間前までならキャンセルOKなんだ」

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