第19話

18歳の子からみたらお姉さんだろうけど、何かその呼び方をされると、老けたような気がして落ち着かない。


男の子は目をクリっと丸くさせて、少し考えるような仕草を見せた。




「じゃぁ、あいさん……あいちゃん……、しっくりこないから、あい、でもいい?」


「いいよ」




私の名前、知ってたんだ。


あ、自己紹介はしたんだっけな?私が覚えてないだけか。




「俺のなまえは、ほまれ」


「ほまれ?」


「うん!ほーちゃんでも、ほまくんでも、ほまほまでも、好きに呼んで」


「いや、普通に、ほまれ、でしょ」


「だよね!」




くるくると表情を変えながら、ニッコリと笑う。




「1か月間よろしくね、あい」


「こちらこそ、よろしく……?」




無邪気な子供のようで、周到な大人のようで。


素直な気持ちをそのまま見せて、良い子でしょ?と言わんばかりに、尻尾を振っている。


きっと彼のことを悪く言う人はいない、誰にでも愛されるような、愛される為に生まれてきたような、そんな雰囲気を持った子。


ほまれ、その名前は君にぴったりだと思った。

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