まず最初に伝えておきたいのですが
高校生の作品とは思えないほど文章の密度が高く、姉と主人公の微妙な心理の動きや葛藤、愛憎入り混じる感情の機微が生き生きと伝わる作品です。
その凄さは、自分が何かを書くのが申し訳なくなる位です。
具体的には、日常の細やかな描写と家族の関係性を丁寧に重ねながら、喪失と成長の物語を描き出している点が非常に印象的です…でもこれ私がへたくそなレビューを書くより、読んでいただいた方が絶対に早いと思います。
特筆すべき部分として、水墨画を通した姉の世界観の説明や、医者になる決意に至る心理的背景の描写は、単なる家族ドラマにとどまらず、自己形成や生きる意味への問いかけがなされているところを挙げることができます。
また、五山の送り火や庭の描写など、情景描写も非常に鮮やかで、心情と空気感を自然に結びつけています。
終盤、夢と現実の交錯を通して姉との関係を整理し、前向きな結末に向かう構成も美しく見事です。
全体として、感情の抑揚と情景描写のバランスが優れており、非常に完成度の高い作品です。
どのくらいかと言うと、経験豊富な作家の文章に匹敵するくらい、と言ってしまいます。これは最後にどうしても伝えておきたいポイントです。
とにかく読んで欲しい。
正直、高校生でここまで書けるのは驚きしかないです。