他人任せ短編集

百足ムカデ

第4.5話 りせい(Side:「」)

「ハッ…ハッ…」

 

 つかれた、どれだけのきょりを走ったかわかんない

 まだいる、にげなきゃ


「ハッ…ハッ…」


 いきはなるべくおなじかんかく同じ間隔に、足といっしょにいきを吸って


「ハッ…ハッ…」


 森が見えたここならにげきれるかも

 まよってるひまはない

 森に入る、とにかく今はきょりがほしい

 右、左、右、左…

 たくさんの道をいどうして、おいにくくする


(そんなことしなくても殺せば良いんじゃないか?)


 だめ、ころすのはさいごの手


(もう一人殺してるんだ、今更5人くらい増えたってどうもしないだろ?)


 だめ、しずかにして

 心の中にいるほんのうをおさえつける、どれだけもつかわからないけど、しずかにさせる

 もうおいかけてくる音は聞こえない、まいたのかな、よかったようやく休める

 ミモの木にのぼって休む、ついでにくだものがないかさがす

 何かが聞こえた…

 耳にしゅうちゅうして、よく聞く


「……近くにだれかいる」


 ねてるこえだからだいじょうぶかもしれないけどいちおういどう一応、移動しよう

 そろそろつかれた、体も心も

 ほんのうにまかせたら、少しはらくになれるかな


 ……ミモの実は、無かった

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