涙について

茶村 鈴香

涙について


ふいの誰かの涙を見ると

まず びっくりして

それから どんな涙に見えるかで

その人への本音がわかる


『可哀想な自分』に酔ってるのか

『悔し涙』に変換してるのか

『思い出す度に泣ける』のか

『感極まって』涙腺が緩むのか


私は男女差別主義者だから

女の人の涙には甘い

月々 血液を持ってかれるのだし

余った水分くらい泣いたっていい


私は男女差別主義者だから

男の人の涙は見たくない

好きだったら過剰に甘やかしてしまうし

嫌いだったら鳥肌が3日消えない


碌なことにならない


かくいう自分はかつて

それはそれは泣き虫で

きれいに涙だけ落ちればいいのに

先に鼻水が流れるのには困った


碌なことにならない


何故

『泣ける』映画が一時期

あれほど流行ったんだろう

他人様の不幸に共感することは

快感なのだろうか


過剰な体内の

ナトリウムを排出するので

すっきりするとか

綺麗になるとか聞いたけど


涙の数だけ強くなるなんて

私は思わない


こらえる方法を探さなくては

ここから先は

泣いたって解決しない事が

多すぎるくらいあるはず


こらえる方法を探さなくては

涙で前が曇ったら戦えやしない

女の涙という武器は

使えた試しがないし

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