第2話地獄派遣社員
和寿は、派遣社員から正社員を目指す事に決めた。派遣された会社は某大手貴金属会社だった。俺は、二十三歳の若さで派遣社員に成り下がった。コネ会社とは扱いが最初から違うのだ。帽子の色が青いのが正社員。黄色のが派遣社員。ここから差別は始まっていた。同じ派遣社員仲間がいた。色野徹である。色野は、暗い目をしていた。
「ここで頑張っても意味が無いよ。」
と初対面で言われた。
確かにプライドだけは高い会社説明。食堂は正社員は半額で派遣社員は満額。しかも、俺の担当に付いた中年正社員轟律は、さらに年配の頑固爺に俺を預けた。頑固爺の名前は末吉栄だった。末吉は、俺に
「ズボンの裾丈、来週までに直してこい!」と言ってきた。
高圧的で命令口調。俺はハズレを引いたのだ。早紀江に言って裾丈を合わせて貰った。次の週、末吉は俺のズボンを見て
「やればできるな。」
と上から目線。
ある日、突然、
「表面張力分かるか?」
と末吉は聞いてきて、分かりませんと答えると怒り狂った。
「何で表面張力も分からないんだよ!?」
と仕事とは関係ない説明を始めた。それでも分からない俺に怒り狂って煙草を吸いに行ってしまった。は、色野は笑っていた。
「気にしない方が良いよ〜ただ誰かを叱りたいだけだから。」
と色野が言ってきた。
末吉は、戻って来ると食堂まで俺を連れて行き自動販売機の前で止まり
「何、飲みたい?」
と聞かれた。
「まぁ、正社員を目指すにはこのくらいの事で挫けるなよ。」
とアメとムチかよ?と俺は、思った。
それから、一ヶ月間、末吉にイジメを受け轟には声が、小さくて聞こえないと言われてボロボロに俺はなった。色野と由依だけは励まし続けてくれた。しかし、色野が派遣切りに遭った。
「派遣社員は、ここの会社では正社員には到底、なれないから。」
と色野は言い残して会社を去った。
残された俺は途方に暮れたがさらに俺を突き落とす出来事が起こった。
「ブラインドタッチが出来ると思ってたから。」
と言われて後、一ヶ月で契約満了と言われた。
派遣会社の人事担当者には気にしなくて良いと言われた。
そして俺は体調を崩して初めて休んだ。そんな時に派遣会社から紹介予定派遣で有限会社が俺を欲しいいと言ってきたのだ。
劣悪会社で頑張ってた甲斐があった。俺は、会社を休みながらも月の半分は行っていた。末吉も轟も何も言ってこなくなった。俺は、一ヶ月満了となり晴れて有限会社に入社した。
「小さい会社で大切にしてもらえ。」
と末吉に言われた。
しかし、俺は、またどん底に突き落とされる。
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