死んでしまったのだろうか

@Seaheart_Fixer

第1話

きっと僕は死んでしまったんだ。

機械的に目を覚まし、ろくに味のしない朝ご飯を適当に口に入れ、身支度をする。

玄関を開けて外を見てみると鬱陶しいくらいの晴天だった。いつもつくづく思う、この空は一体誰の為にこんなにも美しく世界を彩っているのかと。僕がいる世界はこんなにも底知れず暗いのにと行き場のない虚しさに腹を立てて、舌打ちをうち学校に向かった。


人と関わるのはもう辞めた、本当の自分を見せたら裏切られることを再確認したからだ。

1年前は楽しく一緒に部活をしていた仲間もひとりは校内ですれ違うだけの、もう1人に関しては学校にすら来なくなり今ではただの他人となった。こんな崩れ方をしたのもきっと全て僕という人間が生きることに向いていないからだと結論づけた。

しかし僕はどうやら一人で生きていくための能力は備えていなかった。


知ってた、そんなことずっと前から。


そんなことを思いながらつまらない授業を適当に過ごし昼となった、

このクラスの中で僕は必要のない存在であると強く感じる時間である。その空間にいる誰もが人と楽しそうに昼ご飯を食べる中、僕は一人ヘッドフォンを頭につけ音楽と共にこの時間を過ごしている。

別に誰かと昼を食べたいとも思っていない、なんてことはない。本当は、できることなら、誰かと話ながら食べたい。でも僕はもう人ではないんだ、人と話しながら食べると口の中で食べ物が食べ物でなくなる瞬間がある。それがいつ来るか分からない恐怖を裏では抱えている。そんな辛さを味わうくらいならと一人孤独に生きるという選択を取っている。


きっと誰にも僕は救えない。


学校が終わり家に帰る、この時に人生が充実してそうな同年代の高校生を見ると殺意が湧いてくる。でもそれと同時に自分が酷く醜いことも自覚する。

そして夜はスマホを見たり唯一の娯楽であるゲームを中学の友達としたりする。でもその時にもこいつはこんなにも頑張っているのに自分はなんてゴミなんだろうと更にまた深い沼に浸かる。狭くる明日から逃れるように夜を更す。

これが僕の毎日だ。


母親からの愛も感じなくなりはじめた、結局本当の僕は心底知らないし、母親から見たらきっと変わりのないいつもの僕なんだろう。


この沼から救われる方法なんてきっとないんだ。だからこそ無駄にも人肌が恋しくなる。

いつかのあの日、全てを告げて君を抱き締めれば良かった、それに気づかなければ良かった。変わることのない過ぎ去った日々を。

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