薔薇色の空想〜ピーマンの肉詰めさんと肉団子くん
嬌乃湾子
薔薇色の空想〜ピーマンの肉詰めさんと肉団子くん
ある日の事、肉団子くんはピーマンの肉詰めさんに出会いました。
ハンバーグの変化球であり、鮮やかな緑に治る肉詰めさんは皆んなの憧れの的である。そんな肉詰めさんに出会い、肉団子くんの心は薔薇色に染まりました。
ピーマンを独り占めするという独占欲の強い肉詰めさんへの思いは一層強くなる。
ピーマンの肉詰めさんにつくねくんはいいました。
「僕たち、似ているね」
「そりゃそうよ」
肉詰めさんは肉団子くんの目を合わせずに言う。
「だって私たち、ひき肉で出来てるんだもん‥‥だから私、あなたと一緒に居られないの」
「そんな!!!」
ショックを受けなからも、肉団子くんは彼女に受け入れられようと、必死で訴える。
「じゃあ僕、つくねになるよ。それなら被らないでしょ」
「ダメよ‥‥この前作ったし‥‥」
「だったら」
肉団子くんを庇うように現れたのはロールキャベツさん。スコッチエッグと並ぶベスト3の存在である。
「ケチャップに絡めれば最高になれるわ。大丈夫、私が一緒に居てあげるから♡」
横槍から僕を誘惑してきたロールキャベツさんに冷たい目の肉詰めさんはあしらうように手を振る。
「つまみにあんたが先に出たらメインの私が燻んじゃうでしょ。却下よ」
「だったら」
ロールキャベツは突然、強気な目に変わった。
「私がメインになるからあなたが消えなさい!」
「ふっ、面倒臭い」
とうとう本音が出た肉詰めさん。確かに、高騰するキャベツの切られていない大きな葉を茹でてからの包む作業は面倒だ。
「言っとくけど」
あくまで出し抜こうとするロールキャベツさんに肉詰めさんは鼻で笑いながら言い放った。
「今日のメインはピーマンの肉詰めって決まってるのよ!」
「キーーーーッ!!」
「じゃあ」
癇癪を起こすロールキャベツさんを横目に、悲しそうに肉団子くんは言った。
「僕たち‥‥丸めた姿で居るのは諦めるよ‥‥マーボー春雨になるから」
すると肉詰めさんの表情が変わり、肉団子くんを見た。
「あら、いいわね」
互いに見つめあった顔は薔薇色に染まる。
「やっと振り向いてくれたね‥‥これで決まりだ」
「ええ‥食卓で会いましょう」
『それでもちょっと余ったよ』
メニューを考えながら余分なひき肉の使い道を空想する妻。
肉詰めに余ったひき肉はマーボー茄子に入れるも、それでも余った肉だねは結局丸めて味噌汁へと入れる。
大丈夫か?
そう口には出さないものの、夫はそんな妻に心配するような顔で眺めるのだった。
薔薇色の空想〜ピーマンの肉詰めさんと肉団子くん 嬌乃湾子 @mira_3300
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