二回戦

 神威の試合が始まった

 神威の対戦者の機体は機動特化、武器はアサルトライフルとショットガン

 対戦者は中距離で攻撃を仕掛けている、片方ショットガン持ちとはいえダブルショットガン相手に近距離戦はしたくないようだ

 神威は接近を試みて射程ギリギリでショットガンを放って削りブーストで距離を取る

 やっているのはヒットアンドアウェイ戦法だ。相手の弾を避けながら接近して二丁同時攻撃で削る


「凄い」

『神威の事?』

「いや、対戦相手の方、接近されたタイミングでちゃんとショットガン当ててる」


 攻め込むという事は相手のショットガンの間合いに入るという事、対戦相手もしっかりと射程に入った瞬間にショットガンを撃って当ててきている

 神威のタイミングなのに合わせてられる実力、その上ヒットアンドアウェイで距離を離している時はアサルトライフルで削っている

 接近して二丁で当たれば一気に削れるとはいえこのままでは神威は勝てない


『ヒットアンドアウェイでこれ削り切れる?』

「どうだろう。削りきれない気がするな。相手もショットガン持ちだし接近するまではアサルトライフルの攻撃がある」

『接近して離れない方が良さそう』

「そうなんだよね。速度はそんな差が無いから接近したらそのまま維持して撃ち合った方が有利だと思うんだけど……」


 (神威何考えてるんだろ。近距離維持して撃ち合う方が良いってのは考えてるはず……一戦目だから様子見かな)

 一戦目は時間切れで終わる。体力の残量で勝敗が決まる

 その結果対戦相手が勝ち1ポイント先取された。接近して大ダメージを与えていたがそんな何回も接近はさせてくれなかった

 これで神威は後が無くなった


『1ポイント取られたね』

「そうだね。さて、どうする神威、後がないぞ~」

『できる事って言ったら近距離戦に持ち込むだよね』

「神威の編成上中距離以降で戦う事ができないからね」


 二戦目が始まった、開始早々神威はブーストで接近するが対戦相手は牽制しながら逃げる

 次勝てばいい相手はわざわざ近距離戦闘をする必要が無い

 中距離で削って時間切れを待てば勝てるのだから、それも作戦の1つ

 神威は攻撃を避けてブーストを炊いて接近する。ショットガンの射程ギリギリに届いて発砲して削り更に踏み込む


「射程に入った」

『近距離の撃ち合いだー。いけいけー』

「もうこうなったら距離は取れない。相手はどうするかな」

『距離取ろうと……してないね! 真っ向から迎え撃つ気だ』


 対戦相手は逃げないで近距離戦を行う。ショットガンの攻撃を避けて叩き込む

 神威も避けて二丁を撃ち込む。間近で避けて攻撃して細かい動きで翻弄しながら戦いを繰り広げている

 アサルトライフルを乱射している。乱射しても中距離以降だとほぼ当たらないが近距離になると避けづらい厄介な技になる

 神威はショットガンの攻撃にだけ注意して確実に当てて削っていく

 また時間切れになる、そして今度は神威が勝った

 これで1ポイントずつ、三戦目で勝利を収めた方が勝つ


「三戦目入ったね」

『これ本当にどっちが勝つか分からないね』

「どっちが勝ってもおかしくない。そのくらい実力が拮抗してる」


 神威が勝ったが体力差は大きくなかった。僕は接近した時点で神威の方が有利と思っていたが実力はほぼ互角

 三戦目、開始早々神威は接近する

 対戦相手は中距離で戦おうとすると僕は考えていたがそんな甘い考えはしていなかった

 対戦相手も接近を選択していた。近距離の撃ち合いが始まる


「相手も攻め込んだ!?」

『近距離戦闘だ~』


 ショットガンを撃ち終えてすぐに神威は斧を取り出す。今の距離は近接武器の当たる

 相手も同じ事を考えていたのか近接武器をほぼ同時に取り出して打ち合い弾かれ機体の体勢が崩れる

 すぐに武器を構えて撃つ


『すげぇ! これが高レベルの近距離戦闘か』

『頑張れ~!』

『近距離の激戦、どっちも一歩も引かねぇ』

『これ撃ち合いってか殴り合いじゃね』


 攻撃を躱して武器を向けて撃つ。どちらも一撃を受けてゴリゴリ体力が削れていく

 避けるがそれよりも高い精度で撃ってくる。近接武器で切り合う

 そのまま激戦が繰り広げられ4分が経った


『あと1分』

「これは今回も時間切れまでもつれ込むか。それとも……」


 残り時間は1分、この時間で決着がつかなければ残り体力で判定になる

 避けて撃ち合う。対戦者2人は時間なんて多分見てない、そのくらいギリギリの戦いをしている

 最後決め手となったのは近接武器の取り出す速度だった

 僅かに早かった方の近接武器が機体に突き刺さり体力を奪い切る


『おぉ! 神威勝った!』

『まじか! 流石神威』

『良い勝負だった』

『流石強者同士の戦闘、レベルが違ぇ』


『神威が勝った!』

「凄いギリギリ、良い勝負」

『これ決勝で起きる戦いじゃない』

「確かに、これがこの大会一番良い試合かもしれない」

『間違いなく切り抜かれる』

「僕ならこの試合は絶対切り抜く」


 神威の体力は1桁台、最後、近接武器を抜くのが相手の方が早ければ神威は負けていた

 あの編成の神威相手に近距離であそこまで戦えるのは早々居ない

 このゲームのランク戦を続けるなら彼も今作のランカーに君臨するだろう

 (良いなぁ)

 戦いを見て戦いたくなってきた


「あぁ戦いたくなってきたぁ」

『残念、クロは最後だよ。次私~』

「お茶っ子頑張れ~」

『頑張る~、勝つぞー』


 二試合目が始まる

 お茶っ子の相手はアサルトライフルと機関銃を使っている。機体は一回戦の戦闘を見ていた限り中間に近い機動特化

 一回戦目の相手よりはかなり柔らかいがそれでもお茶っ子にとって相性は悪い方だろう

 (そこそこ硬い相手、さて、お茶っ子は勝てるかな)

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