配信終わり
「……参加無理とか無いよね? ボク、条件は満たしてるけど、あっ、もう枠埋まってるとか?」
『1つ枠あるし大丈夫だ。これで人数揃ったから元々の予定で行ける』
「いやぁ、良かった~。これで参加出来ないとかだったら悲しかったよぉ」
『急な話だったから全然そうなっていてもおかしくは無かったけどね』
「確かに、次から気をつけます」
『次があれば先に一言言ってくれ。焦るから』
「了解!」
神威に伝えたのも今、普通に今から参加は無理と言われてもおかしくはない
大会参加は配信時に状況次第でやろうと考えていた事ではあるが別に参加無理でも構わなかった
『ギリギリで人数揃ったって事?』
『おぉ、集まったのか』
『面白い展開、最初からこのつもりだった? いや、流石に無いか』
『大会やるにしても時間は? そのまま? 変えるの?』
『あぁ、大会の時間は変えない。予定通り18時に開催する。クロも時間大丈夫だよな?』
「もちろん! なんならボクは多少時間がズレても問題無く参加出来るから」
『そうか、あぁそうだ。後でアカウントネーム教えてくれ。フレンド申請するから』
「フレンド申請? 必要だっけ?」
フレンドになるとIDがバレてしまう。その上名前変更しても残る為、気付かれてしまう
だからフレンドにはなりたくない
『大会やる時にプライベートルーム開くから……いや、申請は要らないか。ルームのパスをメールで送るわ』
「それでお願いする。ちなみに名前はクロ」
『そのままか、分かった作ったら送る』
「はいはーい、待ってるよ~」
ゲームを起動してプレイヤーネームをムギィからクロに変更しておく
設定を確認してIDが非表示になっているかをしっかりと見てみる
普段からIDを隠しているが念の為に再度行う。アプデや再起動をすると偶に設定が戻っている事がある為、定期的な確認が重要
(IDは非表示になってるね。名前も変更完了、よしこれでプライベートルームに入る準備完了だね)
「それでこの配信は何時までやるのかな?」
『あぁ、この配信の目的は終わったからそろそろ配信を終える。この配信で言いたかったのは大会は中止しない、予定通りに18時に開始する。そして大会に関わる重要な話は精査した後にSNSで必ず伝える』
「ふむふむ、つまり今回の大会についての話は神威のアカウント以外が発信した場合は取り敢えず怪しもう!」
『なるほど』
『確かに関係者以外の発信は怪しいか。今回の発信元は確か参加者だっけ?』
『それもそうか』
『予定通りなら大会見れそう! よっしゃぁ』
今回の大会は公式のアカウントもない、神威以外が発信したものは怪しい
神威が自分に不利な情報を隠すと言われたらまぁ隠すだろう、だからと言って関係者かも分からない人の言葉を信じるのは危ない
『これからも大会をやる事があるだろうから事前に伝えるがその場合大会公式のアカウントもしくはその関係者のアカウントから必ず発信する。これで配信は終わりだ。次は今日18時少し前に配信を開始する』
「じゃぁね~、ボクを応援してね~」
『絶対見る。スタンバイしとくわ』
『クロファイト~』
『楽しみ、優勝誰かな』
『今回も勝つのは神威だろ』
神威が操作を終えて配信が終わった。だが通話はまだ終わっていない。配信のアプリとは異なるため、通話を切るには通話アプリの方を操作しないといけない
(よし、やる事終わったし僕も落ちようかな)
「それじゃ」
すぐに通話を切って落ちようとしたがその時、神威の声がした
手を止めて神威の話をドキドキしながら聞く
『やっぱりライトロード2はプレイしていたか』
「……そりゃ前から待ってた新作だからね!」
招待状を送ってきていた時点で僕がプレイをしているという事は思っていただろう
僕はランカー時代から新作出たら絶対やり込むとか言っていたから
『前から言っていたな。そういえば今回はランカー目指すのか?』
「いや? 高いレベルに見た目好きな機体あるからそれまでやるだけ……ランカーは目指してない」
『そうか……あぁ、そうだ他にも聞きたい事があってな』
「なになに、このボクに何か聞きたい事あるの? ボクの今の下着の色とか? 教えてあげよっか?」
すぐに茶化す。あの件に触れられる覚悟はあるけど怖いのは変わらない
『要らん要らん、そんなもん聞く気ないわ、誰得だよ』
「うーん、誰かの得かも?」
『そうかもな』
神威は僕の素性について何も知らない。住んでいる県、年齢性別、リアルに関する事を僕は一切伝えていない
年齢に関しては雑談などで大体の予想はついてるかもしれないが神威は僕の性別を絶対に知らない
「それじゃ聞きたい事は……」
『ライトロード2で有名なムギィというプレイヤーの事を知ってるか?』
「ムギィ……あぁ! 神威が舐めプしてボコされたプレイヤーか」
『ぐっ、た、確かにその通りで何も言い返せないな。本気ではやったんだが』
「合わせる為に初期機体で戦ったんでしょ? 確か開始前にストーリー以外だと使った事ないとか言ってたみたいだけど……ボコボコだったねぇ~」
今が良い機会と考えてネチネチと言う、こちらからしてかなり不満が多い対戦だった
最も不満の多いとは言えど再戦を求めはしない
『あぁ、全くその通りだ。一応、理由としては他の機体ではステータス差があったというのと視聴者のリクエストが多くてな……まぁもし本気でやっていたとしてもどうなっていたか分からないが』
「それでそのプレイヤーが何かな? その人とは別にフレンドではないよ?」
『知り合いか?』
「いや? 知り合いでは無いけど……神威の配信の切り抜きで見たくらいで」
嘘をつく。まぁ実際、フレンドでも無ければ知り合いでは無いから正確には嘘では無い
『そうか』
「なんで知り合いだと思ったの?」
僕はクロどころか神威の知ってる誰かと知り合いなんて話はしていない、だから疑問に感じた
知り合いだと思う理由が気になる
『対戦中の動きが凄い似てたんだよ。それに俺の癖を知っていた。だから知り合いでこのゲームの操作を教えていたのかなと、後は射撃精度、あのレベルは居ても少ないからクロ本人か? と思ったがその反応からして違うか』
その予想は合っているがあえて沈黙して肯定も否定もしない
(成程、やっぱり動きでバレるのかな。お茶っ子の時と言い射撃精度でバレるはもう意味が分からないけど)
お茶っ子と言い僕の戦い方で看破してきている。そこまで特徴的だろうか
僕にはいまいち分からない。戦法自体相手によって少し変わる事もあるから
「ボクの戦法自体は結構テンプレ寄りだからなぁ。癖に関してはもしかしたら神威のファンかも? 配信見てたら分かる癖もあると思うし」
『それもそうか。俺の癖は配信でもわかるか。最後に1つ』
「うん? 何かな?」
『大会勝つ気で来るよな? 手は抜かないよな?』
半年近くやっていなかった。その上で復帰してからはランカー時代ほどの時間プレイはしていない
今回の大会の他の参加者とはプレイ時間に差がかなりあると考えられる
不利と言うと変な気はするが勝ち抜くのは難しいかもしれない
だけど
「……はっ、愚問だね。やるからには勝つ。それ以外何があるのさ。こっちはストレート勝ちする気満々だけど?」
最初から勝ちを諦めてやる勝負なんてつまらない、勝負は勝つ気でやるから面白い
大会に参加するなら優勝を目指す。別に実力を隠すなんて事は必要無いから本気でやる
遠慮なくなんなら対戦相手に1ポイントも取らせずにストレート勝ちすら考えている
『だよな。期待しているぞ』
「神威こそ途中で負けないでよ? お茶っ子とかイトさん居るけど」
『優勝は渡す気ない。大会主催だけど手加減なんてしないで倒す』
「その意気だ。そういえば優勝時の賞金っていくらなのかな?」
『賞金? 大会の情報見てないのか。書いていたはずだけど』
「それが元々は参加する気無かったから記憶してない」
大会情報を見た時に賞金の額も見た気はするが参加する気がなかった為、そこまで気にしていなかった
(本当に幾らだっけ? 10万とか?)
『20万だ』
「おぉ、結構多い。それは余計優勝狙いたい」
『今回は俺の自費だからな。気持ち多めにした。その方が参加者のやる気も出るだろう』
「太っ腹ァ」
『賞金多くても俺が勝てば問題無いからな』
神威が勝てば賞金は誰の手にも渡らない、今回の大会に優勝候補が居るとしたら真っ先に上がるくらいには優勝の可能性が高い
「それじゃ大会まで装備の見直ししてくるからそれじゃあね。あっ、ちなみにボクの下着は白だよ」
『いや、それは聞いてない』
通話を切る
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