山奥で農家してたら箱罠に美少女がかかりました
気まぐれなリス
プロローグ なんで農家に
俺は
今は農家をやっている
え?「義務教育は」って?
それはそれは深い理由があるんだ
まず俺はかなり、かっなりの田舎に住んでる
そうなると中学校と小学校が一緒の学校に通っていたんだ
突然だった、突然だったんだ
「この学校なくなります」
「…はぁ?…え?何でですか」
「なんでってそれはねぇ、生徒がついに君だけになったからさ」
「それでも数年間続いてましたよね」
「ああ、なぜかな
だがつい先日、市町村合併が決まってね
『では、ついでに学校も合併させますか』と決まってな」
「…は?」
「だが私も流石に抗議したさ
『信吾君はあまりに遠くて通えません』ってな」
「先生ぇ!」
初めてこの先生が素晴らしい人だと思ったよ、この一瞬は
「だが私の給料が上がるという話をされてな」
ん?嫌な予感がする
「渋々了承してしまったよ」
「何やってるんですかー!」
「いや、本当に渋々なんだ
分かってくれるよな」
「死ぬほどすがすがしい顔してますよ!」
「うそ、顔に出てた?」
「いや否定しろ、自ら肯定しに行ってどうすんだい」
「あ…てへぺろっ」
「はいぶっ殺す」
「おかしいな、てへぺろは世界を救うはずなのに」
「三十路がやっても意味ないんですよ!
ただただ痛いだけなんですって」
「嘘つけ、お前もこれで笑ってただろ」
「小学生の頃の話ですよ!」
はぁはぁ、本当にこの人との話は疲れる
「まぁだけどさ、君が通える一番近い学校には寮があるんだ
それに私がいる、案外悪くないんじゃないか?」
「先生…」
「だから、先に待ってるよ
お別れとは、卒業とは言わない」
くそ、最後の最後でいいこと言いやがって
「は”い”」
「泣くな。また会えるさ」
涙をふく、そうして熱く握手をする
なぜか今ならば、あの父も説得できる
そんな気がした
「ダメだ」
本当に気だけだった
「えぇ⁉ダメなの?
凄い感動的な話じゃなかった?
俺だったら絶対泣いてた、子供がこんな話してきたら泣いてた
そして行かせてたよ、感動の再開させてたよ」
「金が無い」
中学生ではどうしようもない問題だった
「そもそも義務教育だから行かせてたんだ、もういいだろう」
「いやまだ終わってな…」
「寮代は流石に無理だ」
もう何も言えなかった
なぜなら父の顔が見えてしまったのだ
どうしようもなく悔しい顔が、子に学校も行かせられないことを悔しがる顔が
「やっぱりいいや、別に先生とはいつか会えるしその時に謝るよ
だから俺農家になるよ、父さんの後を継ぐよ」
「…すまないな」
「別に俺が決めたことだからいいんだよ
…少し散歩してくるよ」
「ああ」
家から少し山の方に歩いたところには洞窟がある
俺は
たまたま見つけたのだが、いい所だ
中に入ると近くにある滝の音で洞窟の中の音が消えるのだ
俺は辛いことがあったらここで泣くようにしている
誰にも聞こえないように
「う”っ、うわぁぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ」
母が死んだ時くらい、俺は泣いていた
「帰ったか、晩ご飯できてるぞ」
「うん」
「明日から畑仕事のやり方を学んでもらうからな」
「うん」
「飯食って早く寝な」
「うん」
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