プログラマン (旧タイトル)異世界に召喚されたら、最初から勝ち組で最強だった

月海月🌙🪼

第0章 異世界召喚編

第1話 突然の異世界召喚

――高校生活二度目の夏休み前日。


 平凡な高校生、俺こと広樹大智は、終業式を終え、親しい同級生たち六人と先日オープンしたばかりのゲームセンターへ向かう途中だった。


だが、足元から突如放たれた眩い光に包まれ、俺たちは意識を失った。


「私達の世界【オプティム】へようこそお越しくださいました。異世界の勇者の皆様、心より歓迎いたします」


「この者たちが、我らの世界を救う勇者か!」


「何とも勇壮なお姿だ!」


様々な声に囲まれ、俺たちは目を覚ました。


 あたりを見回すと、そこは豪華絢爛な王宮。豪華な装飾のティアラやドレスを身につけた女性たち、そして全身鎧の騎士たちが、俺たちを取り囲んでいた。


「え、何、どういう状況?」


「俺に聞くなよ!」


「夢…じゃないよな?」


 同級生の顔は、状況を理解できずにパニック状態だったが、俺だけはこの状況をすぐに把握した。これは小説やアニメで人気の【異世界モノ】、その中でも特に【異世界転移】の王道展開にそっくりだったのだ。


未だに現状を把握出来ていない皆に、ドレス姿の女性が俺達に声をかけてきた。


「異世界の皆様、初めまして。私はこの国を治める【アマルティア王国】の第一王女、【フィーネス・アルマティア】と申します。皆様が驚かれていると思いますが、これは夢でも幻でもありません。あなた方は、この世界の滅亡を目論む【魔族軍】を倒す為に召喚された勇者なのです」


「え、勇者? 俺らが?」


「冗答でしょ…明日から夏休みなのに!?」


「あ、もしかして、ドッキリか何かの番組かもしれね~ぞ」


 フィーネスさんという方はまるで演説をするように堂々と話し始めるも、同級生の池本・飯田・塚村さんは彼女の言葉を信じられず、騒ぎ出した。


「ちょっと待って下さい! 召喚した途端に世界を救ってほしいなんて、都合が良すぎではありませんか!! どうか私達を元の世界に帰して下さい!!」


 非現実な状況に恐怖を覚えた女子『綾部莉乃』さんもこれに便乗し、自分達を元の世界に帰還させるよう懇願。


するとフィーネス姫は、予想外の行動を取り出した


「確かに、この世界に召喚してしまったことについては、深く謝罪します。

私自身も、何の関係も無い皆さんを巻き込んでしまったことに酷く後悔しています。

ですがご安心下さい、【魔族軍】を退けたあかつきには、相応の褒美を与え、元の世界へ帰還させることを約束します。

帰還方法については後日、説明を致しますので、どうか私達の世界【オプティム】を救ってください!!」


 フィーネス姫は大粒の涙を流しながら、俺達に向けて頭を深く下げた。莉乃さんを含めた四人は困惑するも、納得したかのように黙り込んだ。


 無理もないだろうな。この世界の人々はそれほど窮地に立たされているのだと、俺は思った。


「それでは今から、勇者様方の能力値とスキルを鑑定いたします。鑑定士、頼みます」


「はっ!」


 フィーネス姫は騎士から渡された綺麗な布で涙を拭いだ後、フードを被った老人を呼び出した。

どうやら俺達の能力値・スキルがどのようなものなのか測定するのだろう。


「……よっしゃ―――! やっと来たぜ鑑定展開!! お前らも何ビビってるんだよ、 来ちゃったもんは仕方ねえだろ!! もっと前向きに行こうぜ、召喚されたという事は俺達、【勇者】だから、こりゃもう確実に凄い能力値とチートレベルのスキルかもしれねーぞ!! 」


 最後の一人『高田修一』は、異世界召喚に大はしゃぎだ。無理もない。彼は幼い頃から「一度でもいいから異世界に行きたい」という願望を持ち、異世界に行く為に、エレベーターで上ったり下りたりの繰り返しをする程の異世界マニアだ。


子供のように大はしゃぎしている彼のおかげで、皆の気持ちが落ち着いてきたように俺は見えた。






□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■





 その後、俺達の能力値・スキルの鑑定が始まり、一人ずつ鑑定士にチェックされた。


 鑑定されたクラスメイトの目の前に、能力値とスキルが載ったウィンドウが表示されていった。


 今まで騒いでいた池本・飯田・塚村は、ウィンドウに表示された自身の能力値とスキルを閲覧し、高い能力値とチートレベルのスキルだと知ると、顔がほころんだ。


「お待たせして申し訳ありません。それでは、最後に残った勇者様の能力値とスキルの鑑定を致します」


「……はい」


そして、最後に残った俺の能力値とスキル鑑定が始まろうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る