一反もめんの、お正月!
崔 梨遙(再)
1話完結:624字
一反もめんは人間の女性を愛してしまった。砂かけ婆に『惚れ砂』をわけてもらい、愛する女性に砂をかけようとしたら風が吹いて砂が全部自分にかかってしまった。それから、一反もめんは世界で1番自分を愛するナルシストになってしまった。
「あけましておめでとうばい、儂~!」
「あけましておめでとうばい、儂~!」
「儂はお前を愛しておるばい、儂~!」
「儂もお前を愛しておるばい、儂~!」
一反もめんは自分で自分を抱き締める。それを見ていた砂かけ婆が、
「ええい! 見苦しいわ!」
と、『惚れ砂の効き目を無くす砂』をかけた。そこで、一反もめんはようやく我に帰った。
「儂、今まで何をしてたと-?」
「お前はずっと自分自身を愛していたのじゃ」
「は! お正月だ。お正月を一緒に過ごしてくれる女性を探すばーい!」
一反もめんは外へ出て行った。
「あ、あの娘(こ)儂のタイプばーい!」
一反もめんは1人の女性に狙いを定めた。
「お嬢さん、儂、あんたに一目惚れしたとばーい!」
「え! 布?」
「一反もめんばい」
「触って良い?」
「よかよー!」
「うわ、手触りが最高! こんな上質な布は滅多に無いわ」
「儂のこと気に入ってくれたと?」
「うん、私、舞子。刺繍が趣味なの。あなたの身体に刺繍させて!」
「よかよー!」
それから、一反もめんの体中に、日に日に派手な刺繍が増えていった。一反もめんは、“刺繍するスペースが無くなったらフラれるんじゃないか?”と怖れている。ちなみに、胸には大きく“I LOVE 舞子”と刺繍されている。
一反もめんの、お正月! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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