二十歳未満になる方法教えます
風馬
第1話
二十歳未満になりたくないですか?
私はなりたくないですけど、みなさんきっと興味がありますよね?
私も二十歳を過ぎて、色々と人生を経験しました。
あの時に戻れれば、亡くなったあの人と過ごせれば、どんなに楽しいだろう。
二十歳を過ぎて、自然に時間が過ぎていく。
子供の頃と同じ時間のはずなのに、今過ごしている時間は無常にも短く感じる。
純真無垢で真っ白の時間が、今は灰色に染まった時間のよう。
私は研究をしました。
どうすれば、あの時に戻れるのか。
映画のワンシーンのように、時間を越えることが可能なのか。
それは、光の速度を超えてしまえば、過去や未来に好きなように行き来を出来るのか。
でも、光の速度を超えるなんて不可能です。
光や電気の速度を超えることは出来ないのです。
それでも、不可能でも研究に没頭しました。
何か、きっと答えがあるはずだと。
不可能な研究は私を悩ませました。
答えが見つかっているのに、道筋が見つからないのです。
手がかりすらも。
そんな時、幻惑を見る方法を知りました。
それは、とても気持ちがよく、陽気になり、深慮を得たような感じになりました。
この感覚があれば、きっと答えが見つかる。
そう信じました。
でも、幻惑を見る時間はとても少ないのです。
不満だった私は、幻惑を長く見るようにしました。
どうかしてしまったのでしょうか?
幻惑を見ていたはずなのに、いつの間にか寝てしまうようになりました。
もう、幻惑を見ていたのか、夢を見ていたのかわかりません。
そこで、私は閃きました。
幻惑を見ている間に、答えのメモをしておこうと。
ある日、幻惑を見る準備とメモと鉛筆を用意して、幻惑を見ました。
とてもとても、長い間幻惑を見ていたような気がします。
やはり、私は寝ていました。
目を覚ますとメモに何やら書いてあります。
やっと、答えが見つかったと、私は喜びました。
メモを見てみると、大変がっかりしました。
書いてある文字が読めないのです。
ミミズが這っている様な文字。
文字なのか、絵なのか、とても解読できません。
未来の私に、過去の私は一体何を伝えたかったのでしょう。
未来の私がそれを知る方法は幻惑を見ることです。
懲りずに幻惑を見ました。
でも、何度幻惑を見ても、答えは夢の中に忘れてしまうのです。
いつの間にか、幻惑を見るのではなく、夢を見るようになっていました。
夢の中の記憶から答えを見つけることも出来ませんでした。
どれだけの時間を幻惑を見る時間に費やしてしまったのでしょうか?
幻惑は私の体を蝕んでいました。
まさか、幻惑で体がおかしくなってしまうとは思いもしませんでした。
私は病院の扉を開きました。
医師がいます。
彼は私を見るなり、幻惑を見ていたことを見破りました。
そして、私が長年捜し求めていた答えを教えてくれました。
いとも簡単に。
私は今答えを持っています。
それは、きっとあなたも捜し求めていたもの。
これを飲めば、あなたも、二十歳未満になれます。
でも、それを貰うにはあなたが二十歳以上であることと、医師に処方してもらう必要があります。
医師にこう伝えてください。
「抗酒剤をください」と。
二十歳未満になる方法教えます 風馬 @pervect0731
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