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「とてもよく似合ってる。


自分の知らないこと全てを知りたいと思ってる あなたの瞳は本当にキラキラしてるもの」




予想できてしまうのはつまらないと、ミステリーをこよなく愛す彼はそう言った。


本当はもっと多くのことを知りたくて、見たくて、感じたくて仕方ないんだよね。


もっと、もっとって追いかけているんだね。





「素敵な名前を貰ったね」




そう言ってもう一度頭を撫でると、彼は大きな瞳を見開いたまま固まった。








「……なんだよ、それ」



彼が口を開いたのはしばらくした後。急に俯くと小さく呟いた。




「意味わかんね……」



「そう?気分を悪くしたなら謝る」



「……いや、別に、そんなことはないけど」



「まあ私の個人的な意見だから気にしないで……って、ごめん、私もう行くね」




時計を見ると既に4時半。もう倉庫に行かないと。



立ち上がり、ドアの方へ行こうとするとグッと後ろから袖を引っ張られた。






もちろん相手は彼しかいない訳で。




「……なに?本田く、「キラ」

……え?」




「俺の周りはそう呼ぶから、別にあんたも呼んで良いよ」





そっぽを向きながらそう言う彼は素直に可愛かった。





「……わかった、じゃあね、キラ」







久しぶりに楽しい時間を過ごせたおかげで、私は笑顔で図書室を後にした。














「……またね、メイビ」



キラがそう呟いたのは知らずに。

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星空の下、あなたの隣【更新中】 日降 @cota77

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