49

ーーーーーーーー


「……やっぱり義務感じゃん」



誰もいない図書室で、この間話した内容を思い出していると勝手にそんな言葉が零れた。



優也は私を守ると言ったが、それは先代に言われたからであって優也の意志ではない。



優也と約束した先代……即ち私がここにいる原因とは、私の兄、相馬日和(ソウマヒヨリ)である。


ひよ兄は"あの日"のことをずっと後悔している。



私はもう良いって言っているのに、ひよ兄をはじめとする二代目達はそれを許さない。




blueのオーナー、葵さんだってその内の一人だ。


会うたび会うたび悲しそうな顔をされるのは、正直鬱陶しい。

ごめんねって言われるたびに感情が欠けていく気がした。





「過ぎ去ったことなんて変わらないのに。

ただの自己満足にしか思えない」





唯一優也達はそんなの関係無しで一緒にいてくれているんだと思っていた。

ひよ兄や葵さんみたく罪悪感とか義務感とか、そんなんで守ってくれてるんじゃないって信じてた。




ーーでも、やっぱそうじゃなかったんだね。









「私自身を求めてくれたんじゃなかったんだね」





そろそろ本気でおかしくなりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る