33
「「リコッッ!!」」
「「「「リコさん!!」」」」
彼女、リコは肩で息をしながら入り口に立っていた。
その後ろを慌てて走ってくる渚。
「くっそ、渚なにやってんだ!!」
凛太郎の声にはなんで守ってないんだって意味が込められていて、それに顔を歪める渚を見ると切なくなった。
「来るなって言ったろ!リコ戻れ!」
優也が珍しくリコに声を荒げるが、ビクリと肩を揺らしながらも彼女は戻ろうとしなかった。
大きな瞳に涙を溜めながらずんずんと歩いて来る。黒月のメンバーは静かにそれを見ていた。
「リコッ!危ないから!!」
「来るなリコ!!」
「リコさんダメです!」
「リコさんっっっ!!」
凛太郎も優也もメンバーも、必死になって彼女を止めるが、それでもリコは止まらない。
そして、やっと紺野の前で止まると彼女は震える声で叫んだ。
「メイちゃんを離してよ!!」
ーーーーーーーなん、で?
何で彼女はこんなことをするのだろう
どうして自分の危険を考えずに動けるのだろう
リコの登場に急激に頭が冷えた私は、今度は止めどなく溢れ出す疑問でいっぱいだった。
紺野に担がれてるとかそんなこと
もう、どうでも良くなって。
「メイちゃんが何をしたって言うの!?メイちゃんは関係ないじゃない!!」
震える拳をぎゅうっと握りしめ、紺野を睨むリコ。
どうしてこの娘はこんなにも人の為なんだろう
どうしてこの娘は自分の為を考えないんだろう
「リコ……」
「リコさん、」
いくら彼女が私の為に一生懸命でも、
いくら周りがそれを見て彼女に惹かれていても
「……」
ーーーーー私にとってはただの有難迷惑でしかなくて
「……フッ」
思わず乾いた笑いが零れ落ちた。
貴女を守るために私がいるのに
どうしておとなしく守られてくれないの?
どうして自分勝手に動けるの?
「ただの偽善者じゃん」
ーーーーーー小さな私の叫びを
聞いてくれたのは誰ですか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます