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今何が起きたんだ……
慌てて音の方を見ると、そこには殴ったであろう優也と殴られたであろう漆黒の彼がいた。
普段は見せないような怖い顔をした優也と、口の端から血を流してもなお笑顔の彼。
黒月は仲間が殴られたと言うのに誰一人動かない。
よほど信用しているのか、それとも手出しは無用と躾られているのか。
なんとなく後者な気がするのは、楽しそうに肩を震わせている彼がいるから。
しかしそれが逆に青龍の怒りを煽る。
「てめぇ、青龍に何の用だ」
「んー?挨拶だよ挨拶。
まさか正統派と謳われる青龍が理由も聞かずに殴ってくるとは思わなかったけど」
低い低い声の優也に、胸ぐらを掴まれながら笑う彼はどこか狂っているのか。わざわざ挑発なんてしないでいいのに……
「初めましてー、青龍の総長さん。
俺は黒月代表、紺野千鶴(コンノチヅル)
仲良くしよーね、っと」
「……つっ!」
まるで知っていたかのように、一ヶ月前優也が怪我をした右肩に拳を入れると、彼、紺野千鶴は満足そうに微笑んだ。
「優也!!!」
「「「「総長」」」」
慌てて駆け寄ろうとするメンバーを左手で制し、優也は真っ直ぐと紺野千鶴を見据えた。
「へぇ、さすがは青龍のトップだね、強い強い。結構痛かったでしょ?ごめんね、でも先に手ぇ出したの君だから」
「お前よく喋るな、うるさいくらいだ」
右肩を掴みながら不機嫌そうに口を開く優也に、紺野は首を斜めに傾ける。
「えへ、そんな睨まないでよ。久々に楽しいんだからさー」
「……楽しい?」
「うん、とりあえずこの街で裏のトップになれたらいっかなって思ってたけど、やっぱり足りないや!」
「「「「「……は?」」」」」
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