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私の声にハッとした三人は、すぐさま私の指差す方へ走り出した。



細い路地裏のその奥。


三、四人の男が囲む女の子を助けに。



下品な笑みを浮かべた男達と、涙を流し震える女の子。

男達がこれから何をするかなんて、考えなくても分かる。



「お前らっ!何やってんだ!!」


路地裏に優也の声が響いた。





その声に、間に合ったと一先ず安心し私はスマホを取り出した。


[あい!リキです!]


「もしもし、私。今blueからの帰りなんだけど至急車まわして。それと救急セットとタオル持ってきて」



[りょーかいしました!]


元気な声に、よろしくねと返そうと思ったその瞬間。




「キャッ!!」

「っ、」

「「優也!!」」




緊張感がその場を駆け抜けた。



「ごめん、急いで」


[あい!]


その空気は電話の相手にも伝わったようで、電話はすぐに切れた。

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