7


「メイ」


二度目の私を呼ぶ声に振り返ると、今度は渚がそこにいた。



落ち着いた焦げ茶色の髪に同じ色の瞳。凛太郎とは正反対の、全然不良に見えない彼はいつも優しい笑顔をしている。



「オレ達今からblue行くけどどうする?」


blueは元青龍の先輩が営むカフェ。

路地裏の狭い入り口のせいか、お客さんはあまりいない。

オーナーの葵さんはとっても素敵な人なんだけどね。




「私はいいや。寝不足だから昼寝でもしておくよ」


ひらりと手を振って断ると、そっかと笑顔で返された。

それに私も微笑むと、彼等三人とリコは部屋から出て行った。



少し前まではリコのいた場所に私がいたのにな、なんて

つまらないことを考えてしまうのは最近の私の癖。



一人になるとそんなことばかり考えてしまって辛い。

でも、今は彼等と一緒にいる方がしんどいんだ。




窓から四人が楽しそうに歩いていく姿を見て、フッと笑みが漏れた。






「あぁ、眩しいな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る