現代の吸血鬼たち
Sugie Bunko
第1話 誘い
ある日道を歩いてると、一人の老人に声をかけられた。「お兄さん、今いくつ?」唐突な質問であった。驚きながらも、素直に自分が21歳であると答えた。すると、老人は大層満足した顔で「いいアルバイトがあるんだけどさ、ちょっと来ない?」と私の袖を掴みながら何やら誘いをかけてきたのだ。正直怪しさ満点ではあったが、その時お金に困っていた私はその老人の誘いに乗ることになる。
老人は何やら住宅街の一角にある汚らしいビルの裏口とされる所まで私を連れていった。裏口のロックキーをいじりそのドアを開ける、その様はどこか手慣れたものであった。「お兄ちゃん、この階段を登っていくとね、受付がいるからさ、その人から後の説明は聞いてよな。」老人は自分の仕事はもう終わったという感じで、私のもとから早々と姿を消した。私はどこか不気味な感じがするその建物内の雰囲気に言いようのない気持ち悪さを覚えた。しかしここまで来て引き返すのもどうかと思い、老人の言われるがままに階段を登っていくのであった。
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