戦争の傷跡は消えない
失った手足が戻ることはないし
失った命が戻ることもない
勝者は勝ち取ったその特権を
どこまでも享受し続ける
敗者は奪われた尊厳を
いつまでも失ったまま
その連鎖は一代にとどまらず
歴史へと刻まれ続ける
尊厳がなければ希望も生まれない
いつしか風も吹くのをやめた
入れ替わらない空気の中で
すさみ続けて濃くなる憎悪
溢れ出す感情に対して
彼女の歌は
彼女の音楽は
なにかを変えることができるのだろうか
その声は
大気を震わせ
風を起こせるのか
旅をする二人が辿り着いた、ある町での出来事を描いた異世界ファンタジー作品です。
戦争がもたらした理不尽を目の前にして、二人はどのような選択をするのか。
巧みな描写が目を引き、どこか純文学のような雰囲気が漂っています。
想像の余白が残されており、読者によって多様な感じ方がある作品です。
本作は後日談として書かれており、前作「愛の致死量 ~拝啓、神へ。 こんな世界に呼び出しといて、殺し屋を差し向けた無礼を許してあげる。その代わりこいつはあたしのもの~」を読むことで一層楽しむことができます。
戦争の傷跡、それに対峙する二人の物語を見届けてみてはいかがでしょうか。