日常
コンタクトが目に張り付いて、目の奥がガンガンと押し潰される頭痛の感覚。消しゴムのケースがルーズリーフに擦れるいやな音。踏切の真ん中でカンカンと警鐘が鳴り始めた焦り。紙をめくる音。
たくさん、たくさんの感覚が日々の中に散りばめられていて、ほとんどの情報を体の外に追いやって今日を生き繋ぐ、繰り返す。
くらくらする香水の香り、匂いの強い柔軟剤。
色褪せたキーホルダー、しわくちゃなワイシャツ、ペンのカチカチ音。
遠くで鳴り響くバイクの走行音。
ぶぉーーーーーん。
それは立体的に、私の鼓膜を揺さぶる心地よい重低音。
退屈な授業を淡々と進めている平坦な声よりはよっぽどおもしろくきこえた。
つまらない記憶を片隅に追いやったから、少しずつはみ出ていく。
でも、視界の隅で黒板を書き写すクラスメイトの動きや、雲の流れは、それらを意識せずとも私に情報として届いているのか。情報は得るときから脳によって左右されるんじゃないか。
もし五感の情報が毎秒欠かさず運ばれるようになったら、脳はキャパシティを超えるのか。
そんなぎもんが頭をよぎった。
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